神奈川フィルハーモニー管弦楽団 名曲シリーズ オーケストラ名曲への招待 ~ハ短調の慟哭~
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 名曲シリーズ オーケストラ名曲への招待
 ~ハ短調の慟哭~
公演日:2012年02月05日(日)
開 演:14:00
会 場:神奈川県民ホール大ホール   
指 揮:サッシャ・ゲッツェル 
ピアノ:三舩優子 

グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲 
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番ハ短調

~~休憩~~

ブラームス/交響曲第1番ハ短調

 いやいや、見事でありました。
 神奈川フィルはこういうオーケストラなのであった。
 私が知っているこのオーケストラの響きはこうなのでしたよ。
 県民ホールは鳴らないホールだという。
 でも今日はちゃんと鳴り響いているじゃん。
 「るすらん」なんていう曲はどうも今聴くとちょっと恥ずかしくなっちゃうようなウキウキ過ぎる曲なんだけど、でもそんなこの曲に期待するウキウキ・ワクワクが突撃してくるような、そんな楽しさがオーケストラから溢れてくるのは鮮烈。
 このオケの自慢の(っていうか自慢してるのは私だけかも知れないけど)弦が艶やかでコケティッシュにしない優美な曲線を描きそれに管楽器がブレンドしながら花を添え、織かさなり弦と管の綾となってその色彩の素晴らしいことと言ったら、これが神奈川フィル。
 ラフマニノフはそんなウキウキとはうって変わってR18指定、大人の響き。舞台に登場するシックな服装の三舩さんの艶やかで魅惑的な存在感にはこの曲のそんな演奏にふさわしく、またオーケストラの粘る歌い廻しが深く暗くロマンティックに鐘の音からその後の官能的なうねるピアノを優しく熱く包むようで、それでいて繊細で冴えた鋭い輝きがピアノとオケの饗宴。その響き合いはなんだかエロチズムを感じてくるくらい。
 1楽章のあの一番盛り上がるところ、凄いエクスタシー。ここまでやって欲しいよな、ここは。
 2楽章のもうコーヒーに添えられた甘すぎるケーキのような音楽は身体中とろけそう。 夜空の満月のようなその甘いメロディーに、砂浜によせては返すさざ波のような弦がまた素晴らしく官能的で幻想的。ちょっとこの音楽、やっぱり催淫効果がありませんか?。
 今日の冴えたフルートは江川さん、そしてクラリネットは森川さん、森川さんの音、久しぶりに堪能。
 3楽章ではうねる絡む星屑のようなピアノが降り注ぎながらロマンティックにそれを受け止めるオーケストラが、その息づかいが時には荒々しく、そしてある時はため息のように、また息を殺すようにピアノを攻め立て抱擁するようで、それをシルクの輝きの弦がまとわりつくように包み込み、そして歓喜の法悦。
 オケもピアノも美しすぎ。
 あまりにロマンティックすぎるラフマニノフのあとのシリアスなブラームスは定期でちょっと大人しくきこえたベースも席のせいかどうかわからないけどタップリな量感。
 やはりちょっとこれ見よがしがないではない気がするテンポの揺れなんだけど、でもいいです。もうこれに付き合ってあげちゃいます。
 今日のオケはスッゴイよく鳴っていてそして歌う。そしてしなやかで艶やかで、そしてリズムが若々しいの指揮者のせい?。
 そんなオーケストラが殺気のようなものを感じさせながらも一歩一歩踏みしめながら迫ってくる迫力と情熱のうねり。
 鈴木さんのオーボエもいつもながら見事。ホルンの1番は誰だったのだろう、若い子。大健闘。
 今日のティンパニは堀尾さん、鮮やかだった。
 包み込む春の日差しのように始まる第2楽章も揺らめき変化する響きが優しく、それに遠くから響く木霊のようなオーボエとなんといってもここはヲレ様石田様の繊細なヴァイオリン・ソロは高原に咲くスミレの花のよう。
 そんな高原の午前中の眩しい爽やかな空気のような3楽章もこのオーケストラの木管の名手たちの贅沢な饗宴が時折翳りも見せながら、そのコントラストも鮮やかでなんだか歓びに満ちている気がしてきて、やがて4楽章、インターバルをしっかりとるゲッツェルさん。
 緊張の出だしは物々しさよりもやはり張りつめた情熱は前のめりなものを感じながら、雪崩のように崩れるところはだんだんテンポが速まりそしてあのクララへの呼びかけのホルン、フルート。秘やかな角笛の木霊も神秘的で素晴らしく、あの第9に似た(といわれた)あのメロディーの豊かな拡がりはこれが県民ホールで聴いているとは到底思えない充実度。
 もうこのへんでゲッツェル氏は感情を抑えるのをやめたようで(そんなことはないか)ボルテージも上がりうねりは更に大きくもうこっちは難破しそうなくらい音楽に翻弄されて、でも流されてはかなわないのでよせる音楽に足を踏ん張り聴く体制を何とか保ち、だけどもうステージ上からは容赦はなく私を挑発し攻め立てる。
 あのトロンボーンの見事なコラールはアドレナリン分泌最高潮。
 聴き終わったあと、疲れたなぁ。でも心地よかった。
 私はつい数年前は神奈川フィルから毎回こんなコンサートを聴いていたんだった。
 そして県民ホールが鳴らないのはオケのせいでもホールのせいでもなかった。
 ただ指揮者のせいであった。
 さぁ、迷ってないで聴けなかったヤツは相模大野へ急げ!!。 
 だけど、この「ハ短調の慟哭」っていうタイトル、どうかなぁ。
 そしてもう一つ、ゲッツェルさんの靴の裏は赤かった。


by yurikamome122 | 2012-02-05 07:37 | 神奈川フィル | Trackback | Comments(2)
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Commented by yamaguchi at 2012-02-08 19:41 x
ご無沙汰しております。某MC誌の山口です。
相模大野公演に行きましたが、素晴らしかったですよ。
事務局やメンバーの方に伺ったところ、県民ホール公演よりも格段に良かったとのこと。
私はコンチェルトまでしか客席で聴けなかったのですが、コンチェルト最初の弦の響きは、本当に素晴らしいものでした。
ブラームスの間に楽屋でインタビューをしていたのですが、スピーカーから聞こえてくるシンフォニーに何度耳を奪われたか・・・。
Commented by yurikamome122 at 2012-02-09 08:03
yamaguchiさん、またまたありがとうございます。
相模大野はもっと素晴らしかったのですか、いけなくて残念。2回聴いてもいいかと思うくらいの名演でしたから、というか、神奈川フィルの本当の響きが聴けて嬉しかったもので。
大揺れのテンポはなんだか不思議でしたが、響きが素晴らしかったでしたね。
そんな感想をご一緒できて嬉しいです。
またゲッツェルさん来てくれないかと思います。
yamaguchiさんにもまた機会があれば会場でお目にかかれればと思います。
コメント戴けて嬉しかったです。
どうもありがとうございます。
感謝です。
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