ブッシュとゼルキンでシューベルト作曲、幻想曲

c0021859_1921666.jpg 優しいピアノのトリルで始まるロマンティックと言えばあまりにロマンティックなこの曲の出だしの、まるで寒い冬の朝のまどろみの、身体にまとわりつくように包んでくれる心地よい暖かさのシーツのようなこの音楽。
 ブッシュ/ゼルキンといういにしえの名コンビのお互い声高に主張しあうでもなく、かといって大人しいわけでもないヴァイオリンとピアノの絡み合うメロディーが春の花曇りの桜吹雪のようで、時に優雅に、時に激しく荒々しく、そして自然に感情を揺さぶりながら流れてゆくわけですよ。
 最近はこの曲では感心したのはオピッツとモルトコヴィチが演奏したものがなかなかよかったけど、でもこの演奏に聴き慣れた耳にはちょっとモダンにそして主張を感じてしまう。
 そんなわけで恐らくは今日までこの曲の決定版は1932年、もうかれこれ80年以上前に録音されたこの盤なのではないかな。
 ヴァイオリンのまさに幻想的でロマンティックな歌い回し、ピアノの雄弁な伴奏。いや、このピアノを伴奏などと言ったら怒られるかな、それくらい鮮やかに存在感があるし。
 改めて聴いて、至福の20分あまりが過ぎていって、曲が終わるのが名残惜しくなった。

by yurikamome122 | 2015-02-10 18:38 | 今日の1曲 | Comments(0)