シューベルト作曲、交響曲第8番「未完成」 ブロムシュテット指揮、シュターツカペレ・ドレスデンで

c0021859_17225392.jpg シューベルトって初めて耳にしたときに「ハッ」と思うような優しい旋律もいっぱい書くんだけど、それのどれもが凍えそうな寒い冬の夜に自宅に戻り、ストーブの前で飲むあったかいミルクのようで、つまり、いやんなっちゃう絶望のさなかに差しのべられる暖かいぬくもりのようで、で、この「未完成」はそんなシューベルト像がいかにもツボにはまったような曲だと思うのは、ウィーン・フィルの演奏するこの曲よりも、若き(と言っても50代の前半だけど)ブロムシュテットがドレスデン時代に録音したこの演奏を聴くと歌よりもそんなドラマ性を強く感じたりするのです。
 低い声で呟くようなベースのあと、荒涼とした木枯らしの吹く荒れ地をさまようようなあの旋律。
 ヒタヒタと迫り来る悪魔の影のような弱音からクレッシェンドするヴァイオリンの高音。
 そして、運命の定めにより降りかかる苦難のようなティンパニの一撃は聴き耳を立てている私を怯えさせて、そしてやがて優しい旋律でつかの間、小さい頃に母親に抱かれたあのぬくもりを思い起こさせる。
 でもそれはホンのつかの間なのでした。
 2楽章は既にもう死んでいる。
 でもマーラーのように達観して解脱して浄化されていくのではなく、死後の闇を彷徨いながら感情も無く繰り広げられるドラマの中で、そんな自分を見て慟哭する自分自身がいるような。
 救いが無い中に、それでも一縷の救いを夢見ているような残酷さ。ひどすぎるだろう、こんな曲。
 恐ろしい曲なのは知っていたけど、この演奏を聴いてもっと恐ろしい、イヤな曲なんだと。
 でも、辛いときはこういう音楽がいごこちが良かったりするんだよね。

by yurikamome122 | 2015-02-23 17:23 | 今日の1曲 | Comments(0)