カラヤン/ウィーン・フィルでR・シュトラウス「ばらの騎士」

c0021859_1636895.jpg 歌と響きの目眩く饗宴。夜空いっぱいに拡がった眩い星空の下、高台から宝石箱をひっくり返したような色とりどりの街明かりが輝く夜景が拡がる。
 街の中で繰り広げられる妖しい物語の展開にあわせて、香水に咽せて、芳醇なワインが薫ったり、ろうそくの灯りが反射して輝くウイスキーグラスの氷。
 色気たっぷりの熟女の歌声、清純な少女の輝きに、女たらしのだらしなさ。
 そんな世界にほのぼの立ちのぼるウィーン・フィルの美感。
 こんなあり得ない景色がカラヤンだとできてしまう。
 それが延々続く目眩く3時間半。
 ボディラインにピッタリフィットするように羽毛で身体をなでるようなしなやかで縦横に変化する弦の響きに、それを見つめる鋭い眼差しのような弦をなぞる木管の響き。いやらしいけど、でも病みつきになる。
 大見得かますハッタリも、ドンピシャとハマる、かと思えばスピーカーからこぼれ落ちるクラクラするような甘い音楽が聴き手を酔わせ、非現実へといつの間にか身を置いている自分に音楽が終わらないで欲しいと思わせる。
 さすがのウィーン・フィルだってカラヤン以外では、他の指揮者ではあり得ないこの響き。やはりカラヤンはカラヤンであった。
 熟しすぎた果実のように不健康だけど、奇跡のようなこの1枚。

by yurikamome122 | 2015-03-05 16:41 | 今日の1曲 | Comments(0)