ハイティンク指揮、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の81年録音で、ブルックナーの交響曲第9番

c0021859_2211391.jpg 先だっての全集の録音が65年の録音なので16年後の再録音。ハイティンクの成長とよく言われたのだけど、演奏を聴いてみると表現しようとする方向が違うように感じる。
 確かにきめ細やかさや響きの芳醇さなど、あの頃聴けなかったものはたくさんあるのだけど、それらを手にしたハイティンクがどんなものでも表現できそうな深みを感じる演奏をしていて、ここにきこえた世界観は漆黒の宇宙の彼方からきこえる神秘的で吸い込まれそうな澄み渡った世界。
 若かった頃、アグレッシヴにこの曲を攻めて、荒々しい岩山の頂で、雲間から稲妻が光り轟く雷鳴の中、雷に打たれるような世界とは全然違う。それはそれで圧倒的で、やはりブルックナーの世界だと思ったのだけど、81年のこの録音の深遠さ、静けさ。アダージョ楽章など自分一人乗り込んだ宇宙船がどんどん地球を離れて、家族や社会に囲まれた日常から乖離していき、美しい輝く星の彼方へと吸い込まれてゆくようで、そこで拡がる圧倒的な大パノラマに日常を去る名残惜しさや寂しさが入り交じったような切なさと。
 やはりこれは、ハイティンクの成長ももちろんあるけど、どちらの表現も可能だったこの曲へのハイティンクのアプローチの変化と感じるのです。
 そしてそれがコンセルトヘボウ大ホールの豊かな響きを捉えた録音が優秀で、そんな演奏を、まるで宇宙が鳴り響いているようにきこえる録音なわけなのです。
 今、改めて聴いて、この曲の違った面を同じ指揮者の同じオーケストラの演奏から聴くことができて、私にとりこの曲の魅力が拡がった気がするのです。
 そして、この頃のオランダのPHILIPSの録音スタッフが優秀だった。彼らの知り尽くしたこのホールで、これだけの臨場感の録音も凄い。
 演奏も録音も魅力ありすぎの朝から泣ける1枚でありました。

 あ、でもこれからハイドン一生懸命聴かなきゃ。

by yurikamome122 | 2015-03-23 10:48 | 今日の1曲