メンゲルベルク指揮でドヴォルザーク作曲、交響曲第9番「新世界」

c0021859_162265.jpg 今更「新世界」というのもどうかと思いながら、とはいえやはり「新世界」。この「新世界」と言えばもう有名どころの、どこに入っても美味しそうな横浜中華街名店鮨詰め状態の、そしてどの店にも必ずあるチャーハン的な存在の曲であるのだけど、その中でも味わいがひときわ濃いのは、録音されてから65年間輝き続けているのは、メンゲルベルク指揮、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏。
 この曲が作られてから約50年後の録音と言うことになる。
 どうもキワモノ扱いが残念な気がするメンゲルベルクの中でも、メンゲルベルクの演奏様式がキワモノだと仮定すると、思いっきりキワモノなんだけど、例えば、あの有名な2楽章のイングリッシュホルンのソロなんて酔っ払っちゃいそうな、まるで大物演歌歌手がアンコールで十八番を歌っているようなフレーズが伸びたり揺れたりする歌い回しは、もう確かに名人芸で、それでいてイヤミに感じないあたり、いや、キワモノどころか大変美しいわけで、もうため息をついて惚れ惚れ身を委ねるしかないわけで、例によってアメのように伸びるレガートや水飴のようなポルタメントも自由勝手気ままかと思いきや、そこはやはり巨匠の仕事。
 第4楽章では、ポルタメントをガンガン聴かせて気持ちの良さそうに歌いまくる弦楽器の美しさって言ったら。
 1楽章のピアニシモからテンポを上げながらヒタヒタと畳みかけるあたり、ヴィヴラートを完璧にコントロールされたフレーズに思わず心を奪われながら手に汗を握ってしまう。
 それにしても、コンセルトヘボウ管弦楽団の巧いことといったら、さすが。
 聴き慣れない節や響きを時折感じるのは録音が悪いせいかどうかわからないけど、それでもコンセルトヘボウ大ホールの豊かな響きを鳴らしに鳴らして、それまで計算ずくの演奏であることは聴いていれば明らか。ホールの広さを感じる録音なので、1940年という録音年としては決して悪い録音ではないと思う。
 聴いていて音楽が、この曲が愛おしくて仕方がなくなるような、そんな演奏でありました。

by yurikamome122 | 2015-06-05 16:24 | 今日の1曲