senza Basso ~J.S.Bach 無伴奏チェロ組曲全集~ 山本裕康

c0021859_23124772.jpg 透明な、本当に透明な音楽が、唯々、極々普通に流れてゆくのだけど、でもこの音楽が流れているのはスピーカーを通してなのだけど、そのスピーカーの音がいつもと違って緊張感を放っていて、それをオーラというのかどうかはよく知らないけども、聞き流しているはずなのに、不思議とGiovanni Grancinoの深く明るく豊かな歌が胸に染み渡り、困ったことに4番のサラバンドでは泣けてきてしまった。
 もっと静謐で圧倒的な演奏は他にもあるし、威厳と貫禄に満ちら録音も他にはあるのだけど、この演奏の澄み渡った空気のように自由な演奏は他にあるのかしら。
 聴いていて苦しくない、極々自然に、優しく、だけど無言の思いやりのようなこの感じ。音の流れに身を委ねるこの夢のような世界。でもそこに感じる緊張感は決して穏やかではない。そうか、バッハってこれだったんだ。バッハの音楽は垂直に立ち上がるものだと思っていた。宗教との関係や膨大なカンタータの世界のバッハも、その中にあるものはこれだったんだ。バッハの祈りってこれだったんだ。

by yurikamome122 | 2015-07-30 15:27 | 今日の1曲 | Comments(0)