ベートーヴェン「第9への道」第9回 オピッツでベートーヴェン、ピアノ・ソナタ第 29 番 変ロ長調 Op.106

c0021859_6191845.gif 「第9」は第4楽章で前3楽章の回想が置かれていて、それらを否定して新たな「平等、博愛」という価値観を分かち合おうと言っているわけで、その手法が見られる作品がこれ。
 ベートーヴェンは昨日のピアノソナタ第28番を発表した翌年の1817年頃からあまり体調が思わしくなくなってきた。保養地に行って様々な治療を試みるけどあまり効果はなかった。
 そんな時にロンドンのフィルハーモニー協会からの招待には気をよくして、夢だったロンドン進出がかなうことに期待をしたけど、その条件としてもちろん多額の報酬はあってのことだけど、2曲の大交響曲を作らなければならなかったが、なかなか手を付けなかった。それだけ体調が悪かったのかも知れない。結果、ロンドン行きは今回は見合わせることになった。
 そんな時にロンドンのブロードウッド社から新型のピアノを贈られ、創作意欲をかき立てた。作りかけだったこの第29ピアノソナタ「ハンマークラヴィーア」を完成させる。
 この曲は前半3楽章はそれまで彼が使っていたドイツのシュトライヒャー社製のピアノで作曲を進めたが、残りの4楽章はこのロンドンのブロードウッド社のもので作曲された。この2つのピアノは出る音域が違っていた。と言うわけで当時この曲を全4楽章通して演奏できるピアノがこの当時はなかったし、そしてなによりこの曲を演奏できるピアニストも作曲者ベートーヴェン以外はこの地上にいなかったあたりはWikiに書いてある。
 ところでこのピアノソナタはもう明らかにベートーヴェン後期の世界に入っているわけで、深みも世界も違う。特にながーい第3楽章の美しさは聴いていて困ったものだと思うくらい素晴らしいと思う。澄んだ夜空の星の輝きのようなオピッツのピアノ!!。
 そして第4楽章、このフーガの深遠な世界の前に前楽章の暗示的回想が置かれている。
 この楽章でもオピッツは澄んだ美しい響きを冷たい澄んだ夜空に輝く鋭さで演奏していて、やがてその美しさと拡がりにすっかり飲み込まれてしまうと言う演奏。
 ところで、この頃に諦めてはいないロンドンへの手みやげの(と言うか約束の)2曲の交響曲に着手。一つはニ短調の交響曲、もう一つは声楽入りの交響曲、後に「第9」となる2曲のスケッチが現れる。

by yurikamome122 | 2015-12-10 09:31 | 今日の1曲