ベートーヴェン「第9」その後② ベートーヴェン作曲、弦楽四重奏曲第15番イ短調op.132

c0021859_3583498.jpg  ベートーヴェンは作曲者自身の人生が音楽に深く関わるようになった最初の偉大な作曲家だと言うことになっているらしい。
 そんなわけで、彼の歩んできた人生の苦難やら恋愛やらなにやらが彼の作風に大きな影響をしているわけで、1813年あたりからのスランプ以降の作品は特に後期に入り、室内楽指向が強まり、その作品群はそれこそ彼でなくてはあり得ないようなと言うところからも超越して諦観と浄化を経た幻想的で透明な響きと透明な心とどことなく宗教的な様相まで呈してくると言うことだと言う指摘もある。
 そんな中でも「ミサ・ソレムニス」と「第9」はその中でも少し様相が違う。それを指摘する専門家もいるし、聴けば私もそう思う。
 がしかし、この2作品のあと、他はやはり最後のピアノ・ソナタの世界がまだ戻ってきて、特にこの1825年作の弦楽四重奏曲第15番は重篤な状況から癒えたと言う(あとから付けたらしい)長大な第3楽章、静かな静かな神への讃美、感謝と喜びは「運命」などとはちょっと違う後期のベートーヴェンの、決して大声で語らなくても深く言葉を心に刻み込ませる老人の語り口の深みだと思う。
 この曲は、最終楽章には合体によりボツになった第9交響曲の器楽版で使う予定だった主題が転用されているらしい。
 演奏は、やっり私にはカール・ズスケがいた時代のベルリン弦楽四重奏団の毅然としたダンディズムと優しさを感じる演奏が一番しっくり来るわけです。

by yurikamome122 | 2015-12-17 11:08 | 今日の1曲 | Comments(0)