神奈川フィルハーモニー管弦楽団 シュナイト音楽堂シリーズVol.13
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 シュナイト音楽堂シリーズVol.13
2008年03月8日(土) 15:00 開演
神奈川県立音楽堂   
指揮:
  ハンス=マルティン・シュナイト 

ハイドン
 /交響曲第82番「くま」

~休憩 15分~

ベートーヴェン
 /交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
 
 本当は2年前の4月に神奈川フィルハーモニー管弦楽団『鎌倉特別演奏会』 で聴けるはずだったシュナイトさんの「田園」、やっと再びあのCDにもなった3年前にミューザ川崎での神奈川フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会 ”名匠シュナイトの「田園」”の待ちに待った再来。
 満席の会場、心地よい春風の中、力強い希望をもらったコンサートでした。
 私は定期会員なので会員価格でS席で3200円、それでこの内容。この低価格で恐らくは世界でも最高水準の音楽体験。サントリーホールで聴いたアバドとウィーン・フィルでもこんな体験はできなかった。
 これはもう神様が「あなたはこの音楽を聴きなさい、聴かねばならない」と言っているような気がしてならない。そしてそんな神が、いや、なにか大きな神秘的な愛情を本当に感じた演奏会だった。
 ハイドンはとても大きな拡がりを持った風格の演奏。ドイツの田舎の風景が頭に浮かび、あたたかい陽射しに照らされて爽やかな春風の中に土の薫りと共に春の息吹とおおらかさを感る。
 そして今自分がここに生きていることを感謝したくなるようなハイドンだった。
 あのハイドンでこんなにも幸せになれるなんて思わなかった。
 音がオーケストラから発せられたとたんそれは単なる音ではなく音楽でもなく魔法のように会場の空気を一変させる、そんなものを感じる。
 いや、これこそが実は音楽なのかも知れない。

 休憩後のベートーヴェンは言葉がなく。
 あのミューザの再来、いや、それ以上の体験だった。
 1楽章から優しく、なんだか「私は愛されているんだな」って思うような演奏で、誰から愛されてるのかって、わからないけどそんな気持ちになってきて、2楽章の出だしでのどが詰まり、舞台上で起こっていることが音楽の演奏ではなく心に直接訴えかける有無を言わせるとかではなく、なにか言い表せない祝福が脳の感覚中枢をもバイパスして直接自分の核心に温かいミルクを注がれるようなそんな感覚を体験した。それはまるで母親のおなかのなかで温かい羊水に漂いながら母親から愛情あふれる栄養をへその緒を通して直接注ぎ込まれるような。
 5楽章に入り嵐が静まったあとの雲が晴れるような、そして見る見る温かく柔らかい陽射しが地平を満たすようなフルートの上昇音階、泣いた。
 嵐のあとの雨上がりの森の滴に輝く日の光のような輝きの美しいオーケストラは優しさと祈りに満ちて、同時に感謝の気持ちが沸き上がり、やっぱり泣ける。
 この日、オーケストラから発せられていたのは崇高なオーラだった。きっとこれこそ本質なのかも知れない。
 音楽は、そしてその演奏はそれを身体に染みこませるためのバイアスに過ぎないんだ。
 「細かい傷がなんなのだというのだ、理屈などどうでもいい」、実際こんな気持ちになるのは指揮者やオーケストラ一人一人が演奏に対して前向きに細部まで注意深く気を配ったその結果だとわかっていながら、そんなことはどうでも良くなってしまうような気がする。
 演奏が終わったあと、いつもの通りみんなで居酒屋に向かう時の言葉少ななこと、いや、言葉がでない。
 でるのはため息ばかり。完全にノックアウト状態。
 もうたぶんしばらく私はCDでもコンサートでも「田園」を聴くことはないんだろうな。
 今後これ以上の「田園」聴くことができるとは思えず、いや、体験できるとは思えず。
 なにより、昨日のあの得も言われぬ感覚はしっかりと大脳の奥深く、海馬に刻み込まれて今でも思い出そうとすればあの感動はCDなど聴くまでもなくすぐに蘇り、のどが詰まり涙することができてしまうのです。
 音楽を聴くって言うのはこう言うことなんだなと、きっと。
 前日の夕方からこの日の朝まで飲んだくれておりながらコンサート中睡魔に襲われることもなく心をうち震わせてトランス状態に陥った45分あまりのひとときを感謝して、そして祈って、そして、ホールを出て皆何も話す気になれず言葉少なに向かった居酒屋では注文すらできず、大ジョッキを頼むのがやっと。
 多少のお酒でやっと口がなめらかになり、堰を切ったように皆しゃべり始め、クリムト路線で大いに飲んだくれたのでありました。
 お付き合い下さった皆さん、本当にありがとうございました。
 そして金曜日は迷わずみなとみらいホールへ行け!!。

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あやの気まぐれ日記 神奈川フィル合唱団のシュナイト氏指導~ブルックナーミサ曲第3番~
シュナイトさんに関して
楽興の時 言葉
by yurikamome122 | 2008-03-09 10:29 | 神奈川フィル | Trackback(2) | Comments(12)
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Tracked from さまよえる歌人日記 at 2008-03-09 12:06
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Tracked from 鎌倉スイス日記 at 2008-03-09 12:17
タイトル : 昨日は神奈川フィルのコンサート
昨日は神奈川フィルの演奏会であった。 ハイドンの交響曲第82番「熊」とベートーヴェンの交響曲第6番「田園」というプログラムだった。 昨日の神奈川フィルはクラリネットが神経質になりすぎていたり、弦のトゥッティの音程が怪しかったりという問題が無くはなかった。でも石田氏をはじめとして素晴らしい演奏で十分な満足を得られた。 シュナイト氏の指揮は大変流麗で、神奈川フィルからとても美しい、バランスのとれたサウンドを引き出していた。貧弱な古楽器風のサウンドで満たされた「田園」ではなく、伝統的な編成、響きでとて......more
Commented by スリーパー at 2008-03-09 10:50 x
いい演奏でしたよね。オケは本当に頑張りました!

音楽堂のデットな残響の無いホールを考えてのハイドンだったと思いますが、それでもやはりシュナイト風味のハイドンで、ボッセ教授とも金さんとも違う演奏に堪能。
田園もよくもまぁ、この音楽堂でこれだけ(壮大に)テンポをユッタリ取れるもんだと感心しながら、その優しい音色に耳を研ぎ澄まし聴き入ってました。

・・そう言えば、連絡の際に席をお伝えせず・・申し訳ございません。お会いできる最良のタイミングだったように思えていたのですが。
Commented by yurikamome122 at 2008-03-09 11:05
スリーパーさん、本当に素晴らしいなどと言う言葉では表したくないような演奏でした。
田園、50分くらいやっていましたよね。
エロイカの70分には及びませんでしたが、それにしても大きななにかを感じた演奏会でした。
それにしてこんな演奏会を聴ける私たちは幸福ですよね。
心からそう思います。
今度次回、ぜひお目にかかれればと思います。
コメントいつもありがとうございます。
コンサートのこの感興を分かち合える仲間がいることを本当に嬉しく思います。
感謝です。
Commented by yokochan at 2008-03-09 12:14 x
昨日はたいへんお世話になりました。
お陰さまで、私まで会員様の恩恵に服することができました。
あんな田園を聴いてしまったら、これから先、どうしたらいいのでしょうか?
アフターコンサートもとても楽しかったです。
金曜日のことを考えると、夜も眠れません・・・・。
Commented by 玉藻の前 at 2008-03-09 15:17 x
yurikamome さん、お世話になりました(*^_^*)
ご案内ありがとうございました^^
あ、トラックバックしたつもりですが…失敗しているのかな?出てこない(^^;)
Commented by 秋田谷徳靖 at 2008-03-09 16:33 x
予想通りの素晴らしい演奏会だったようですね。
昨日は日本フィルの定期演奏会もあり、体調を考慮して神奈川フィルは遠慮させていただきました。
今週末の神奈川フィル定期演奏会でお会いしましょう。
Commented by yurikamome122 at 2008-03-09 19:08
yokochanさん、いえいえ、とんでもありません。
多くの仲間とあのひとときを語り合うことができて私もとっても幸福であります。
それもこれもコンサートが素晴らしいからですよね。
私ももう当分は田園を聴かないでしょう。
金曜日、チケットはそのままお取りしておきますね。
yokochanさんのためにこの私のレポートのリンクに神奈川フィル合唱団の”あやさん”の練習のレポートを貼っておきますね。
期待がますます膨らみます。ただ、シュナイトさんお身体心配ですよね、ご高齢ですし。
コメントどうもありがとうございます。
またお目にかかれると嬉しいです。
Commented by yurikamome122 at 2008-03-09 19:08
玉藻先生、すいません。
私のブログはTBもコメントも一切の制限はかけていないのですが時々そんなことがあるようです。
せっかくなのに申し訳ありません。
リンクを貼らせていただきました。
こちらこそお付き合い感謝でした。
たぶん滅多に体験できない音楽の神髄に触れることができたひとときだと思います。
こんな経験ができる私たちは実はとっても幸福なのだと思います。
またご一緒いたしましょう。
どうもありがとうございました。
Commented by yurikamome122 at 2008-03-09 19:08
秋田谷さん、ちょっと探したのですがお見受けできなかったのはそう言うわけだったのですね。
ボッセさんの指揮でも聖響さんの指揮でも彼らの演奏した音楽はまた次回違う人で聴いてみたくなりますが、シュナイトさんの演奏はいつももうそれで打ち止めになってしまいます。
予想通りというか、それ以上でした。
来週も期待ですね。
またお目にかかりましょう。
コメントどうもありがとうございました。
感謝です。
Commented by 佐都 at 2008-03-10 20:30 x
こちらは現田さんのシェェラザードを満喫してました~(笑)
何か分からないけど「愛されてる」感覚、良く分かります!音楽の神様からのプレゼントなんですよ、きっと!!
シュナイトさんの音楽も聴いてみたいです。是非、関西公演を
Commented by カンナ at 2008-03-10 21:25 x
リンク&TBお気遣いいただきありがとうございました。私のことばでは語ってはいけないような(笑)素敵な演奏でした。弦は全体が見事だったと。シューマンがどうなるかも楽しみです。
Commented by yurikamome122 at 2008-03-11 13:42
佐都さん、マエストロのシェヘラザード、羨ましい!!。
マエストロのロマンティックな音楽は大好きです。
来月は待ちに待ったマエストロが神奈川フィルに帰ってきてくれます。
私もマエストロの音楽を堪能いたしますね。
この「田園」はあのマエストロのラフマニノフのような圧倒的な音楽でした。
こんな体験をしてしまうとまた次も行くんですよね。
ぜひ佐都さんにも聴いて欲しい。
お金持ちなら電車賃あげるから聴きにおいでって言いたい。
関西公演、実現させたいです。ぜひ多くの人にきいてもらいたいです。
今度は京都でお目にかかりたいです。
コメントどうもありがとうございます。
感謝です。
Commented by yurikamome122 at 2008-03-11 13:44
カンナさん、こちらこそご丁寧にありがとうございます。
弦は輝いていましたよね、眩しいくらいでした。
ブルックナーはお見えになれないのですね、残念です。
シューマンはもうスッゴク期待しています。
楽しみですね。
次回シュナイトシリーズ、お目にかかりましょうね。
コメントありがとうございます。
感謝です。
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