今までわりとゲルマン的バーバリズムに満ちて、勇ましくも男性的な、私が思うワーグナー的響きの演奏をいくつか取り上げてきたわけだけど、もっと透明で美しい響きが爽快感と神秘を感じる演奏をと言うことで実は「指環」の録音の中でもひときわ聴くべき個性に満ちたヤノフスキ盤は独自の存在感を感じるワケなのです。これほど個性的でありながら、もちろんワーグナー自身がこのオペラ座に在任していた時期もあり「タンホイザー」や「リエンツィ」、「さまよえるオランダ人」なども初演したゆかりの深いドレスデンの国立歌劇場の演奏は、他のワーグナーの演奏とは明らかに一線を画して独特の美感を持ったワーグナーの世界感を持っていると思うのです。
ブロムシュテット時代に最高に花開いた(と私は勝手に思っている)ドレスデンのシュターツカペレがDENONレーベルで「指環」を入れたといえば胸が躍るし心待ちにしてその録音のテスト盤を聴いた時の落胆は期待が大きかった分スッゴクがっくりしたのは昨日のことのように思い出すのですが、あの当時全曲集めるとなんと7万以上もしたセットが今は3000円台で投げ売り状態。なんとレギュラープライスのCD1枚と同じ値段で14枚組の「指環」全曲が手に入ってしまう。しかもオケはドレスデンのシュターツカペレ、しかも最高に味わい深かった80年代の演奏が。もう犯罪に近いと思う。
改めて聴いてみると、リマスターしたのかどうか解らないけどそこにはあのドレスデンのシュターツカペレの独特の気品と艶やかさと瑞々しい新鮮さのあの響きが紛れもなく響いていたのでありました。
やはりオケの響きがワグナー的壮大さというよりも、精妙な緻密さが緻密とは感じさせない自然さが新鮮で、ジャニーヌ・アルトマイヤーのブリュンヒルデの勇ましいだけではない気品に満ちた美しい歌声がオケの響きにピッタリ。
これでこの長大なオペラのラスト、「自己犠牲」を聴くと昨日のティーレマンやその他の演奏のように怒濤の響きがガラガラと瓦解する、そんなスケール感と最後の響きが身体を包み一緒に天にも昇ってゆきそうなドラマティックな救済劇が、このドレスデンのシュターツカペレとヤノフスキ盤は大自然の中のひとつのできごとであるかのような、そんなリアリティーが逆に物語の大きさを感じさせるという不思議さでありました。
その流れる音楽のそよ風のような自然さと清水のような美しさは今まで聴いてきたどの演奏とも別世界のこのオペラの世界を私に魅せてくれておるのでした。
改めてこのオペラを考え直す機会をくれた録音で、やはり名演。これが¥3500位で手に入るというあまりの犯罪的価格は、まるでウォータンの加護があるかのような昨今の強い円が影響されていることを感じないわけにはいかないと思うのです。
さてと、明日は期待の定期演奏会だっ。

本社~藤沢鵠沼T邸~Tビル~本牧A邸~本社~Tビル~本社(6024)~本牧A邸。
写真はバラが見事な山下公園沈床花壇。
一口1000円以上です。神奈川フィル存続のため神奈川フィルブルーダル基金にぜひご協力お願い致します。
ご協力戴ける方はこちらから。

ティーレマン指揮、バイロイト祝祭管弦楽団、リンダ・ワトソン、ほかでワーグナー作曲、楽劇「ニーベルングの指環」より第3夜「神々の黄昏」より最終場面。
「ニーベルングの指環」に出てくるジークフリートというのはやんちゃで世間知らずで乱暴者で、しかもバカ力が強くケンカが強い。ブリュンヒルデという最強の妻を得ながら媚薬を盛られ浮気をするマヌケ男に見えて仕方がないのだけど、「ニーベルングの指環」という物語はやはりジークフリートが中心人物であるわけで、その死にはやはり特別な意味が込められていて、それはこの「葬送行進曲」に様々なエピソードのライトモチーフが散りばめられていることでも聴くだけで自然に解るようにできているわけだけど、そんな音楽に思いの丈の哀しみと無念とが大津波のように押し寄せて、圧倒的なスケールで聴かせてくれるのがテンシュテット指揮の演奏であります。
明日はこのワーグナーの誕生日、今日と明日はだけど葬送行進曲も何か気が引けるのだけど、順番的にこうなりましてすいません。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団第281回定期演奏会連動企画、ワーグナー作曲、楽劇「ニーベルングの指環」より第2夜「ジークフリート」より、「森のささやき」をカラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とジェス・トーマスで。

































