カテゴリ:神奈川フィル
  • 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第280回定期演奏会
    [ 2012-04-21 23:53 ]
  • 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 聖響音楽堂シリーズ モーツァルト・シリーズ第4回
    [ 2012-04-15 07:50 ]
  • 神奈川フィルハーモニー管弦楽団プロモーション動画公開のご案内
    [ 2012-03-27 19:39 ]
  • 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第279回定期演奏会
    [ 2012-03-11 10:30 ]
  • 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 聖響音楽堂シリーズ モーツァルト・シリーズ第3回
    [ 2012-03-03 23:58 ]
  • 神奈川フィルファン感謝コンサート 明日への前奏曲(プレリュード)夜の部
    [ 2012-02-29 12:42 ]
  • 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第278回定期演奏会
    [ 2012-02-18 18:12 ]
  • 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 名曲シリーズ オーケストラ名曲への招待 ~ハ短調の慟哭~
    [ 2012-02-05 07:37 ]
  • 神奈川フィルハーモニー管弦楽団第277回定期演奏会
    [ 2012-01-29 07:07 ]
  • 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第九特別演奏会 ベートーヴェン/第9
    [ 2011-12-24 12:52 ]
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第280回定期演奏会
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第280回定期演奏会
公演日:2012年04月20日(金)
開場:18:20
開演:19:00
会場:横浜みなとみらいホール   
指揮:金聖響 
アルト:竹本節子
テノール:佐野成宏

マーラー/交響曲第10番嬰ヘ長調より第1楽章“アダージョ”

~~休憩~~

マーラー/交響曲「大地の歌」

新シーズンスタート乾杯式
 J・S・バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007より“サラバンド”
   山本裕康
 アイルランド民謡:「ロンドンデリーの歌」
   石田泰尚

 神奈川フィル新シーズンのスタート、一発目は初っぱなはシュールでロマンティックに非現実への入り口、マーラーの第10交響曲のアダージョで始まり。
 オケは14型ステージいっぱいに並んだオケは壮観で、そこから響く音楽に誘われるのは遙か彼方、彼岸へ。
 正直言って、私はこの曲を神奈川フィルで何度聴きたいと思ったことか。
 この繊細で透明な弦がすすり泣き戦慄きながら時に嗚咽し、そして煉獄を包む不気味な赤い空のような、流れる生暖かい空気のような金管木管のクラスター。
 そんな夢見た響きが今ここにある。思った通り素晴らしい、中程に来るシリアスでシュールなチェロのソロは不気味かつ甘い。
 その後に登場するヴァイオリンのソロの不気味な妖艶さは愛するものに憧れながらそこにあるものは抜け殻であるようで、それを嘲笑するかのような美しい木管のさえずり。
 それら全てを愛おしむような豊かな音楽の流れ。
 そんな音楽を最高に聴かせる我がオケは寄せては返す波のように呼吸を繰り返しながらユラユラと幻想も見させてくれる気分になるのは、重なり合う中に顔を出す様々な楽器のかき消されないそれぞれの楽器が絡み合う乱雑さ猥雑さ、そしてそれがもう既に幻になってしまった哀しみを強く感じたからで、例のあのクラスターの絶叫はもう哀しさと寂しさと絶望がこみ上げて、それでも響きはあくまで透明。それは流れる涙のようでありました。
 これは大地の歌でも感じたけど、この大音響でもすべてがきこえる美しい透明感は、恐らくはセルとクリーヴランド管弦楽団を連想するけど、美感の上ではこちらが上なのではないか?。私はこれこそ自分が理想とするマーラーの響きだと思った。
 そして、それら全てがもうこの世に存在しない追憶のなかでしか出会うことが出来ないどうしようもない時間の流れと運命を印象づけて静かに、白雲のようにホールから消えていったのでありました。
 この、あまりに人間的な、あまりに切ない音楽を、あまりに優しくあまりにスマートに聴かせてくれた彼ら。
 最後のヴィオラで奏でられる切ない笑顔には涙がいっぱい。
 思った通り、このオケで聴くこの曲は素晴らしい、長年の夢が叶った歓びとあまりの哀しさにしばし動けなかった。
 休憩後の「大地の歌」はもう冒頭から全開で金の紙吹雪を吹き上げながら、ホルンの雄叫びも勇ましくも哀しみを湛えて、テノールの佐野さんの目一杯の絶叫から始まる運命の瓦解はとてもロマンティック。
 前半よりも更にオケは歌い、叫び、語り、そのアグレッシヴな美しさはオケのいろいろな楽器がとってもいろいろな表情でそれこそ雄弁だったりおしゃべりだったり色っぽかったり愛らしかったり、そんな様々な楽器の響きが美しいモザイクを緻密に並べたまるでアラベスクのように繊細で、しかも鮮やかに圧倒的に迫ってくる。
 私はマーラーってそんな緻密さといろいろな楽器の旋律が絡み合う、浮かび上がる面白さだと思う。それを教えてくれたのは若杉さんだったけど、残念ながら彼のマーラーは神奈川フィルでは「巨人」しか演奏されなかった。
 でもあの頃よりも数段レベルアップしたこのオケからファンとして私の自慢である様々な宝石たちのような色々なパート、楽器のプレーヤーたちが妖しくも神秘的に、キュートで透明に聴かせてくれた。
 スカッとした歌心で一直線に心の哀しさを叫び訴える佐野さんも、リリカルに包み込むような歌でしみじみ語る竹本さんも心に残り、「告別」での最後、マーラーが自分で詩を付けた部分の竹本さんはリリックソプラノの面目躍如、期待通り泣かせてくれた。
 残念だったのは第1楽章、あの突然猿が現れる場面で佐野さんの声がオケにかき消されてしまったこと、だいたいオケが厚すぎるのでベルティーニも若杉さんも結構苦労をしていた。
 ステージ上は新顔もいて、もちろんコンマスはヲレ様石田様なんだけど(素晴らしいソロをいっぱい聴かせてくれた)、小宮さんリードの2ndも繊細で透明。前半から大活躍の柳瀬さん率いる魅力的なヴィオラの鳴き節にはメロメロ。
 それからチェロは勿論山本さんが君臨。都響時代から彼を楽しんできた身としてはパワーアップしたソロの素晴らしさ、見事さが嬉しい。そしてチェロのパートの歌の豊かさに包み込まれる。
 コントラバスは新顔がいたけど支えるような低い歌が時に聳え、時に艶やか。
 森を感じる冴えた音色の木管たちは先ずは大見さんのピッコロの見事だったことと鈴木さんのオーボエが素晴らしい。フルートに君臨したのは江川嬢。透明な冴えた響きとテクニック。マーラーはあれを尺八でやりたかったんだろうなぁ。それにしても隣に座った山田さんとメロディーを受け渡す場面、この二人の音色がこんなに違うのかと改めて驚き。
 あとはファゴットだよねぇ、魅力的だったのは。
 クラリネットは斎藤さん。
 ブリリアントで輝く金管ではホルンにも新顔、この曲にふさわしい音色が見事、拡がりと神秘を感じる響きでさすが。トランペット、三澤さんは頑張った。
 それとトロンボーンの深くあたたかい響き。
 清水さんのティンパニも最高、そして平尾さんのシンバルの音色もキレもあのテクニックは素晴らしい。今回は重田先生がいなかった。
 それから琵琶になったり呟いたりのハープも、琵琶だったり琴だったりのマンドリンも 星屑のようなチェレスタも秘やかだけど大音響よりも胸に響く。
 やや早めのテンポでもありそれでも1時間近くはタップリあったはずの「大地の歌」なんだけど、この魅力的な演奏はそんな長さは全然感じない、あっと言う間の1時間でありました。
 終演後は恒例(になりつつあるらしい)新シーズンスタートの乾杯式。お歴々の挨拶のあと、オマケは豪華だったのは、新CDを出した首席チェリスト、我らが山本裕康さんがバッハを、そして我らがソロ・コンマス、石田泰尚さんの「ロンドンデリーの歌」。
 まさかここでこんなオマケまでもらえるとは。
 そんなわけで、ホールをあとにしたのは夜も10時を過ぎようとしていたのだけど、そのまま関内の居酒屋になだれ込み、新たな仲間も加わり夜も更けるのも忘れていいコンサートのあとは飲んだくれたわけでありました。
 お付き合い下さった皆さん、ありがとうございました。
 さて、来月は「指環」ですわ、これも夢見たプログラムであります。
 またまた遅くまで飲んだくれの予感。

この素敵なオケ存続のため、神奈川フィルブルーダル基金ににぜひご協力お願い致します。



神奈川フィルを勝手に応援するサークル

Facebookページも宣伝
by yurikamome122 | 2012-04-21 23:53 | 神奈川フィル | Trackback(1) | Comments(6)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 聖響音楽堂シリーズ モーツァルト・シリーズ第4回
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 
 聖響音楽堂シリーズ モーツァルト・シリーズ第4回
公演日:2012年04月14日(土)
開演:15:00
会場:神奈川県立音楽堂   
指揮:金聖響 
フルート:江川説子
       (神奈川フィル首席奏者)
ハープ:神谷朝子

モーツァルト
  歌劇「フィガロの結婚」より序曲
  フルートとハープのための協奏曲
 フルート、ハープアンコール
  おぼろ月夜

~~休憩~~
モーツァルト
  交響曲第36番「リンツ」

 雨の県立音楽堂はやはりアクセスの悪さのためか残念ながら入りはあまりよくなかった。たぶん7割くらいの入りだった気がする。
 ステージ上は小編成の刈り込んだ神奈川フィル、編成は8-6-4-4-3だったと思う。コンマスは勿論ヲレ様石田様、あとチェロは山本さん、コントラバスが米長さん。小宮さんと柳瀬さんはいない。序曲のみフルートの女王、山田さんが君臨、山田=大見コンビ。クラリネットは森川さん、オーボエは鈴木さん、ファゴットは石井さんと女性は誰だったろう、結構素敵だった。トランペットは三澤さんに金谷さんの鉄壁の布陣。
 あと、私的には今回素敵に素晴らしかったのはティンパニを担当した平尾さん、最高によかったんじゃないの?。個人的にティンパニには思い入れがあって、その意味で今回のコンサートの主役は私的には平尾さんに尽きた。
 実はこのプロは2006年6月に神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第227回定期演奏会『旅の日のモーツァルト』 で序曲が「フィガロ」ではなく「ルーチョ・シッラ」で以前に体調不良のためシュナイトさんの指揮で聴き逃している。あの時は、代わりに尾高さんだった。
 会場がみなとみらいだったせいもありずいぶんと優雅な美しい演奏だったのだけど、今回はデッドであたたかい響きの音楽堂、しかも指揮が聖響さんで編成もやや小降り。
 「フィガロ」序曲は疾走するスポーツカーのように結構軽快に飛ばして、とはいえオケも鳴っているし、透明な弦が結構響いてテンポも私の常識的な感じ。アレッと思ったところがあるのは聖響さんではいつものことだけど(その後の2曲でもあったし)、それはおいといて出だし良好。
 続く協奏曲なんだけど、もう一人の首席である江川さんが今回の主役。軽やかに滑り出した音楽はやがて江川さんの澄んだ音色を誘い出し、木漏れ日のようなハープに包まれながら爽快に率直なまっすぐな響きを聴かせてくれていた。
 それに絡むオケの蒸留水のような伴奏があいまって、特に2楽章なんて高原のそよ風のような心地よい世界が拡がっていたのでありました。
 1楽章、3楽章のカデンツァ、よかった。
 拍手に応えてアンコールでソリスト二人がやってくれたのはなんと「おぼろ月夜」ここでこれをやってくれるとは思わなかった。懐かしく、どことなく憧れを感じて、そしてなかなか雅な世界だった。
 休憩後は「リンツ」オケはいよいよ鳴り始める。
 初めこそ優雅さよりもややゴツゴツしたテクスチュァなのは音楽堂でやっているせいもあると思う。
 2楽章に入り弦よりもやや管が勝ったバランスに感じでピリリと辛口。いつもの美しくも繊細で透明な弦に彩りを添える管楽器が多少無造作にきこえちゃうこのホールなんだけど、でも絶妙なタイミングの平尾さんのティンパニがデリカシーを持っていて、私はそのタンタンタン音が耳に入るたびにもうそれにリズムから呼吸、心まで乗せられてついつい音楽に引き込まれてしまう。
 やっぱり私は彼のティンパニいいと思うけどなぁ。それとファゴット、良かったぁ。
 3楽章のメヌエットは颯爽としていて、そんななか優雅でチャーミングな弦にとっと添えるようなトランペットの彩りはそのデリカシーが素晴らしい。
 中間部のメヌエット、鈴木さん、さすが。そしてそれらに重なり絡むファゴット、誰、あの人。
 そしてやっぱり見事なティンパニ。
 4楽章はやや早めなテンポでスマートに流れる音楽が更に歌い出して、予想通り繰り返しは全部やって、この大好きな曲を堪能させてくれる。
 なぜかわからないけど気のせいかも知れないけど楽章を追うごとに1楽章で感じた「ゴツゴツ感」がだんだん少なくなってきて、この楽章に来ると弦が流麗に見事に歌い、美感を歓びを吹き上げ、結構自己主張を強かった管も響きが同じ方向に向いてきたような気がしてきて、それはそれは楽しい見事な世界が拡がってきたのでありまして、短いながらも印象的に感じた展開部がなぜかちょっと私の感情をくすぐった後、再現部の入りで我に返ったあの感覚は初めて感じた。
 そしてその再現部、ナンだろうこの喜遊感、目を見張り耳は釘付け、ヴァイオリンの繊細な響き、豊かな温かさを感じるチェロ、コントラバスはもうカーニバルのように気持ちが煽られつつも気品は前3楽章、いや4楽章の前半よりも気高く漂い、そのせいかこんなに明るい音楽なのに哀しみがこみ上げてくる。
 圧巻は最高に充実した繰り返された再現部からコーダに至るその数分間はなんとも言えない哀しさに包まれた。こんなに明るい曲なのに。
by yurikamome122 | 2012-04-15 07:50 | 神奈川フィル | Trackback | Comments(2)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団プロモーション動画公開のご案内
 ここのところ「勝手に神奈川フィルを応援する会」の幹事長として当ブログでは神奈川フィルの来月定期に向けて、次回定期の演目であるマーラーの「大地の歌」を取り上げているわけなのだけど、ところで神奈川フィルは最近の演奏会を映像で撮っておりまして、それを公開しておるのでした。



 これは前回の神奈川フィルハーモニー管弦楽団 聖響音楽堂シリーズ モーツァルト・シリーズ第3回での映像。
 溌剌の聖響さん、繊細な神奈川フィル。
 神奈川フィルの美音、熱演のほんの少しですがお聴き戴けると思うのです。
 ぜひ映像をワンクリック、聴き下さい。
 そしてコンサートにも足をお運び下さいますように。
 そしてその他にもここにいくつか。

 それから、4月3日に開港当時の横浜の風情を感じる横浜三塔の一つ「ジャック」として親しまれている横浜市開港記念会館で「神奈川フィル・ブルーダル基金コンサート」として12:20からランチタイム・ヒーリング・ストリングス、19:00から石田泰尚ヴァイオリン「横濱“BLUE”夜会」と言うコンサートが行われるわけなのだけど、お昼のコンサートは無料ですが、夜はもう既にチケット売り切れとなっておるのです。
 でもその両コンサートの模様がUSTREAMで生中継されるとのこと、太っ腹。
 神奈川フィルの誇る弦楽セクションと、その顔とも言うべき代表するプレーヤーの一人、ヲレ様石田様の華麗なパフォーマンスに美音を是非お楽しみ下さい。

神奈川フィルの皆さん、
これからも増えることを大きく期待をしております。




by yurikamome122 | 2012-03-27 19:39 | 神奈川フィル | Trackback(1) | Comments(2)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第279回定期演奏会
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第279回定期演奏会
公演日:2012年03月10日(土)
開演:14:00
開場:13:20
会場;横浜みなとみらいホール   
指揮:金聖響 
ソロ・コンサートマスター:石田泰尚

ベートーヴェン/
  序曲「コリオラン」作品62
  交響曲第8番ヘ長調作品93

~~休憩~~

ベートーヴェン/
  交響曲第5番ハ短調作品67「運命」 

震災被災者への追悼
 J・S・バッハ/アリア
 黙祷

 オーケストラはCDで聴いていたあの演奏を予想していたから小編成でやるのかと思いきや12型だった気がする。
 オーケストラは響きの透明感は更に増してきたように感じる場面もあったし、フルートの女王、山田さんの君臨する響きがやはり素晴らしいと思う。そしてピッコロはやっぱり大見さんは好きだなぁ。
 ティンパニの平尾さんは私は結構好好み、轟くんだよね、彼のティンパニ。
 なんといっても今回ヴィオラとチェロの音色の素晴らしかったこと。運命の2楽章の冒頭は思わずハッとしてしまった。この2楽書ではその後の木管群との絡みは素敵。
 それを支えるコントラバスも盤石だし、その中低域になめらかに響くヴァイオリンはやはり神奈川フィルの弦。フルートと共に私の胸の中の感情の圧力をコントロールする。
 どの曲も旋律は若々しくフレッシュに麗しく歌い流れ、指揮者の意図の不徹底なのか、それともオケに飲み込まれたのかよくわからないけど、この指揮者でいつも感じるあの若さに任せたような、やんちゃとも感じる私にはどうにもあまり馴染まないテンポと呼吸感とアクセントみたいなのは今回もないワケじゃない、けど何でかわからないけど妙に緩い。
 そんなわけで結構まろやかになっているので耳障りなところが少なかった。そしてせいかどうかわからないけど息苦しさは今回はそう感じなかった。結構大編成のオケを鳴らしてシンフォニックにやっている。
 8番の冒頭はこのオーケストラの美音が溢れ落ちるような華やかな響き。こんな弦が高原の春風なら木管群の軽快な艶やかさは小鳥たちみたい。
 そして眩しい太陽のような金管群、8番の3楽章中程の牧歌調のホルンは森さんも君臨してヨーロピアンなメロディーにウットリ、それらをドラマティックに演出するティンパニも素晴らしかった。
 8番の1楽章なんてこのオーケストラらしく繊細に輝かしく伸び伸び歌っていたのは私の予想を裏切った。CDで聴かれたもの凄い勢いで若さに任せたようなただ元気のよさだけが迫ってくるものではなく晴れやかに伸びやかに音楽が流れていった。
 「運命」の冒頭も普通、この普通の中に色々ときこえるものがあると思う。美音オケはここでは表情がシェイプされた中に厳しさを聴かせてくれるし、弦と木管の重なり合いが自然に耳に入ってくるのはハッとするところもいっぱい。これはオーケストラを聴く醍醐味だと思う。
 テンポは早めとはいえ極端なこともなく、エッジも痛いほど立っているやけではないし、それよりも両曲ともシュナイトさんの面影を何度も感じて、このオーケストラにはあの人がいた時代が確かにあったんだと、それを感じることが来たところが時折あってそんなわけでオーケストラの美音を楽しんだ。
 ただ、申し訳ないけどシュナ爺の両曲の演奏がいまだに頭から離れていない私にはここではこういう場面だったはず、あそこはこういうフレーズだったとか、ここであの爺は雄叫びを上げていたとか、そんところをスルリと通り過ぎていってしまうとアレレみたいにガクッと来ちゃったり。そしてまた小姑になったわけではないけどこんな美音を吹き上げながら心地よく突っ走っている中で、所々唐突に聴き慣れない強弱はちょっと意表をつかれて、しかもキレが悪い。刃の鈍ったカッターナイフのようで妙にイラッと戸惑ったりする。
 そんなわけで、ブラボーもいっぱい出てたし私には神奈川フィルの美音とこのオーケストラを楽しめた演奏ではあったけど、それは正直いって聖響さん、今回もオケに随分助けられたかなって感じがしないでもない。
 5番はスケルツォの繰り返しはナシ、4楽章はあり。
 ところで、全プロ終了後に聖響さんが1年前の震災翌日定期演奏会に触れ、「G線上のアリア」を演奏した。あの日、ホールへ向かうクイーンズスクエアは土曜日にもかかわらず全館閉店していて、その自分の足音が木霊するのがきこえるような廃墟のようなクイーンズスクエアを歩いた時の寂しさとか津波の映像とか色々思い出し、なんといってもあの定期の神がかったような凄い演奏も。
 演奏後に黙祷を捧げた時に自然に立ち上がる客席。オケも客席も全員が立ち上がって黙祷を捧げた時は思わず涙がこみ上げる。
 震災翌日に「悲劇的」を演奏して、その震災から丸1年経とうとする前日に「運命」を演奏して「苦悩を乗り越え歓喜に至る」のはたぶん偶然。震災前からどちらもやる曲は決まっていたはず。
 でも、印象的なコンサートだった。





by yurikamome122 | 2012-03-11 10:30 | 神奈川フィル | Trackback(1) | Comments(4)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 聖響音楽堂シリーズ モーツァルト・シリーズ第3回
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 聖響音楽堂シリーズ モーツァルト・シリーズ第3回
公演日:2012年03月03日(土)
開演:15:00
開場:14:30
会場:神奈川県立音楽堂   
指揮:金聖響 
クラリネット:齋藤雄介
ソロ・コンサートマスター:石田泰尚

モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲
モーツァルト/クラリネット協奏曲イ長調

クラリネットアンコール
モーツァルト/クラリネット五重奏曲より
  第二楽章

~~20分間休憩~~

モーツァルト/交響曲第41番ハ長調「ジュピター」


 「魔笛」序曲で直線的響きで先ずは一撃を食らわされて、潤いと瑞々しさと言うより攻撃的でアグレッシヴな勢いに襲われる。
 オーケストラはコンマスはもちろんヲレ様石田様。チェロは三宅さん、ファン感謝コンサートよりも更に小編成にしたように感じたけどどうだったか、相変わらず鳴りは乾いた浅い響きのように思う。
 バセット・クラリネットの協奏曲だったクラリネット協奏曲も序奏はオーケストラは序曲と同じ傾向で少しダイエットしすぎの感がなくはない。
 今まで聴いてきたこの曲の演奏に比べるとこぢんまりと楽器を鳴らしきれない印象はぬぐえず、息苦しく音楽に余裕が感じない。
 モーツァルトは古典なのだから、曲が素敵だからインスピレーションをかき立てられていろいろな想像をしてしまうけれども、基本職人モーツァルトが「ニーズにあった心地いい曲」を作ったはずで(この曲の場合ウィーンの宮廷オケのシュターダー。この人がバセット・クラリネットの発明者だったはず)、聴いていて心地よくなければやっぱり違うのではないのかなと。
 ここ数年ピリオドテイストの聖響さんの古典を聴かされて、どうも「ピリオド奏法」とかその手法それ自体が目的になってしまい、音楽にまで辿り着かないのではないかと感じてしまうのは私が無知なせいだろうかなんて言う感慨も持ちたくなる。
 オーケストラはいい音を出しているのに響きが融合せず、素朴かも知れないけど私が感じるにやや貧相。私が期待するような豊饒な拡がりを感じることはできなかった。
 けど斎藤君のクラリネットは、イイじゃんあんた。イケてるよ。歌ってる。コントラスト強めのやせ気味の音楽の流れる中で一際素敵なメロディーが蝶々のように舞踊っていたように思う。
 2楽章のクラリネットはウットリすのだけど、そのたたずまいは教会で聴く賛美歌のように清楚で癒される響きだった。
 アンコールで弦の首席奏者と共に演奏されたクラリネット五重奏曲は絶品。全曲CD希望。
 「ジュピター」はもう聖響節炸裂で私が思うこの曲の世界とは全く違う演奏であったのは予想通り。
 そうなんだけど、浅い息づかいでせわしなく進み、金管もティンパニも音楽をまるで歌舞伎役者の化粧のように強烈な隈取りをしてたたみ込んでくるわけで、でも結構攻撃的に演奏をしていながら暴力的にも感じる管とパーカッションの中で決してかき消されない刈り込んだ神奈川フィルの美しい弦の健闘で演奏自体私には輝いてきこえた。
 でも聴き進むうちに聖響さんとオーケストラの目指そうとしているモーツァルトは私がシュナイトさん指揮のこのオーケストラから教えられたこの曲とはまったく違う曲なのではないのかと感じてきた。
 その世界は、いや今回も完全ピリオドではないにしろそのテイストの入った演奏は私の思っているこの曲とはもう曲自体違うくらい別物なのではないのか?。そんな疑問が浮かんでくるのでありました。
 安土桃山から江戸初期にキリスト教が伝来して、当時のキリシタンの間で拡がったキリスト教が本来のキリスト教とまるで別物であったように、私の聴いてきた、これらの曲からイメージする演奏とピリオド系の演奏の目指そうとする世界は刺身とカルパッチョくらい違うのではないのか?。私は無い物ねだりをしていたのではないのか?。
 クラリネット協奏曲でも序曲でも豊で稔りを感じる心地よい天国のような響きとはまるで違う、感じた息苦しさとか響きの薄さとか隈取りのどぎつさとか、全てはそう言うものではないのかと。こういう演奏を実は私の認識が足りなかっただけではないのか?。こんな演奏を貧相として拒否反応をしていた今までの私の音楽鑑賞の聴き方ではなく、こういう演奏を楽しむべき聴き方があるのではないのか?。そう言う世界を知らなかっただけではないのか?。
 終楽章にさしかかり、だんだん盛り上がる舞台をみて、私にはどう見ても特段の一体感と集中力で惹き付けられるその演奏を聴いて、その様子を率直に感じながらだんだんそんな思いの駆られてきたのでした。
 もしそうなら、忌々しいけど聖響さんの挑発に私は見事に乗っかって、まんまと彼の術にはまったというわけではないのか?。
 まだこの形式の演奏にこころから賛同するわけにはいかないけれど、なんだか今になって新しい楽しみ方を、いや感じ方をたたき込まれていたことに気がついたのだろうか?。
 響きや様式はさておき、一体化した澄んだ美音の大嵐、この神奈川フィルらしい響きの一大ページェント、饗宴になったステージを観て、それに扇動された自分を感じて、そんなことを思いながら会場をあとにする気分はそんなに悪くないものであった。





by yurikamome122 | 2012-03-03 23:58 | 神奈川フィル | Trackback(1) | Comments(2)
神奈川フィルファン感謝コンサート 明日への前奏曲(プレリュード)夜の部
神奈川フィルファン感謝コンサート 明日への前奏曲(プレリュード)夜の部
公演日:2012年02月28日(火)
開 演:14:30(昼の部)
     19:00(夜の部)
開 場:13:30(昼の部)
     18:00(夜の部)
会 場:神奈川県立音楽堂   
指揮:金 聖響 
   (イントロクイズ:伊藤翔)
司会:永井邦子

第1部 オーケストラ「劇」的名演集
 ~オペラ、バレエ&ワルツ~

J・シュトラウスⅡ/喜歌劇「こうもり」序曲
ハチャトゥリアン/組曲「仮面舞踏会」より「ワルツ」
チャイコフスキー/歌劇「エフゲニー・オネーギン」より「ポロネーズ」
         バレエ音楽「眠りの森の美女」より「ワルツ」
ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲

~~休憩~~

第2部 ファン感謝イベント
 《明日へのプレリュード》

ゲストコーナー
 黒岩神奈川県知事
 林横浜市長

 菅井円加さん
  菅井さん表彰式

 菅井さん、黒岩知事、聖響さん対談

イントロクイズ
来年度副指揮者紹介
オークション

J・シュトラウスⅠ:ラデツキー行進曲


 夜の部に参戦、私の席の斜め前には黒岩知事を初めお歴々がズラリ、はさておき楽しかった、ペアで3000円という超激安であれだけ楽しめたらもう文句なんかありゃしません。
 舞台上にはちょっと弦を刈り込んだ編成のようで、10-8-5-6-3のように見えたけどこれは見間違えかも知れない。コンマスは清水さん、小宮さんも柳瀬さんも米長さんもいたけど裕康さんがいないのはあとのお楽しみ。
 クラリネットは個人的に思い入れのある森川さんは嬉しいし、フルートは山田=大見コンビ、後半は山田さんと江川さんは交替。中島さんはいなかったけど三澤さんは君臨。森さんの顔も見える。ティンパニは横尾さんで、いつもの清水さんはスネア、平尾さんはいつもの通り冴えたシンバル。
 聖響さんの指揮の「こうもり」序曲で始まったこのコンサート。やっぱり神奈川フィルの響き。音楽堂にはここで聴き慣れた幅のある鳴りの神奈川フィルではなくここ数年聖響さんに変わってストイックになりながら透明感の冴えた音色。
 でも美しい弦は、そしてそれぞれ個性的で繊細な輝きをもった管楽器はその魅力は今でもしっかりと聴くことが出来た。
 前回定期でちょっとまとまってきこえた気がしなかったのはやっぱり気のせいだったのかも知れない。
 「仮面舞踏会」でもナチュラルではあるのだけど残響の少ないこの音楽堂に青白くミステリアスに輝くシャンデリアの光が見えた気がして、平尾さんのシンバル、いいなぁ。
 チャイコフスキーも優しさと風格よりも星屑のような繊細でシャープな光が切なく素晴らしいし。
 ここで演奏された清々しいワーグナーもかつて君臨していたシュナイトさんの響きが少しだけきこえて、いや、それよりも最後、彗星のようなシンバルと共に吹き上がるオーケストラの美音の中で明けの明星のようにひときわ輝いたフルート、あまりに素敵すぎ。
 これなら来月末の「タンホイザー」もますます楽しみになってきた。
 休憩後、このイベントに駆けつけてくれたスイスのローザンヌ国際バレエコンクールで優勝した菅井円加さんの表彰式なんかもあり、雰囲気を盛り上げながらイントロクイズに突入するのだけど、そのクイズはどうと言うより個人的には裕康さんの「どぼこん」がさわりだけでも聴けたのとラフマニノフの交響曲第2番の3楽章とプッチーニの「誰も寝てはならぬ」はこのオケは絶品(歌った倉田さんは以前「題名」の「歌ってみまshow」に出ていたけど、本当に歌ったのをみるのは初めて)なわけで、これもさわりだけだけど嬉しかった。
 今期で副指揮者卒業の伊藤翔君のバトンを受け継ぐ永峰君の紹介。神奈川フィルの副指揮者は聖響さん提唱で始まった新しいシステムのようなことを言っていたけど、実は以前にも記憶が間違っていなければ確か外山さんの時代から團、手塚、そして現田時代の途中まで今でも若手の、「のだめカンタービレ」のCDでもお馴染みの上野さんはここで副指揮者として頑張っていたという揚げ足とりは置いておいて、伊藤翔君来期の定期登場は実は秘かに私は楽しみにしておるのです。
 そしてオークションにかけられた裕康さんのバッハはあどけない小学生の女の子が3000円で落札というか、その女の子が手を挙げたその時点で落札決定をした司会者の永井さんはナイスだった。
 そしてそのバッハが素晴らしかったこと。きっと彼女はこんな素晴らしいバッハを間近で聴いたことを一生覚えているに違いないと思う。
 岡さんという方が落札した指揮台は「マイスタージンガー」をなかなかロマンティックにやっていた。
 最後に演奏されたこう言う時は定番の「ラデツキー行進曲」は、現副指揮者、伊藤翔君から次期副指揮者永峰大輔君にバトンが受け継がれ、最後は聖響さんで大トリと思ったら裕康さんが乱入し、最後は山本裕康指揮、神奈川フィルハーモニー管弦楽団でめでたくこのコンサートを閉じたわけであった。
 やっちゃいましたね、裕康さん!!。
 知事、市長の熱い応援メッセージを込めた挨拶があったのだけど、林市長のこのオーケストラがここ横浜、神奈川にあるべきというメッセージには深く共感。
 国際都市横浜で、私はオーケストラが必要だと思う。
 そしてこんな個性的な響きはそして存在意義があると思う。
そんなことを考えながらいつの間にか夜9時半を過ぎたこの夜会のような楽しい長~いコンサートは残念ながら終わってしまったのでした。
 帰りには黒岩知事、林市長をはじめ、楽団では理事長以下楽員もみんなで募金箱をもっている。少ないですが協力させて頂きました。
 林市長が言うように、お礼を言わなきゃいけないのは、感謝を言わないといけないのはこっちの方。いいひとときをありがとうございます。
 応援します、頑張って下さい。




by yurikamome122 | 2012-02-29 12:42 | 神奈川フィル | Trackback | Comments(2)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第278回定期演奏会
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第278回定期演奏会
公演日:2012年02月17日(金)
開演:19:00
開場:16:20
会場:横浜みなとみらいホール   
指揮:金聖響 
ピアノ:横山幸雄

ベートーヴェン/
  ピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15
ピアノ・アンコール
 ベートーヴェン/
  ピアノソナタ第17番「テンペスト」より第3楽章

~~休憩~~

マーラー/交響曲第1番ニ長調「巨人」

 なんか好調にきこえていた聖響さんのマーラーシリーズなんだけど、ここ数日の私自身の忙しさのせいか寒さのせいか、今回はどうも私にはちょっとよくわからないこの演奏でありました。
 マーラーの「巨人」は16型の大オーケストラは始まりからどうも響きが噛み合わないというか、まとまっているようなんだけど不思議にそれぞれが一体感をもってきこえないというか、みんなそれぞれ一生懸命いい音、いい響きをだしているのだけど、それぞれで一体になったアンサンブルの快感が薄かったように感じたのはたぶんここのところの忙しさで頭がいっぱいで音楽に集中できていないせいかも知れない。
 「花の章」を1楽章のあとに入れてみたのは大昔、オーマンディーがやった通り。征爾さんは初録音では入れていたけど発売の時は削除した(但しCDでの再発の時には「花の章」を復活しているのでなにかの事情があったせいかもしれない)。今回はきっとこれは試みだったのだろうと思う。
 それに聖響さんは楽譜にもこだわり、今までの一連の演奏では「新校訂版」を使っていたはずなのだけど、その「新校訂版」では第4楽章(普通第3楽章)の冒頭は「1本のコントラバスではなく、コントラバス群によるソロ」と書いてあるはず(数年前、ゲッツェルさんが神奈川フィルの定期でやった通り)なのに今回は米長さんのコントラバスのソロであった。この曲では今までの楽譜を使ったのだろうか。この米長さんは素晴らしく上手で、惚れ惚れするくらいの思いっきり美音を聴かせてくれていたのだけど、かつてハイティンクが「あの部分はできるだけ汚く」と言っていたのとは相反するのはこれも解釈なのだろうと思う(ちなみにLBもテンシュテットも当然ハイティンクもここは歌わせてはいない。かの不滅の名盤と言われるワルター/コロンビア交響楽団など歌わないどころではない)。
 ただ、ホルンが楽譜の指示通り立ち上がる(なぜか一人トロンボーンも立っていたけど、これも解釈なのだろうけど)あたりから最後だけはさすがの大盛上がりで、なんだかここぞという響きになっていたのではありました。
 そんなわけで、前半のピアノ協奏曲はやはり同じようなことでありまして、オケが鳴らないのはこの指揮者の古典ではいつものこと。
 その他にマーラーでも感じたのだけど、音楽がセカセカとして少しやせ気味で大きな流れがないように感じる。メリハリが強すぎるきらいもあってかあんまり風格を感じなかったのは初期の曲なのでまぁいいとしても、音楽が弾けてこなかったのも、いろいろなことが頭を駆けめぐって音楽に集中できなかったせいかもしれない。
 みんな一生懸命演奏していたのにごめんなさい。せっかく噴火山のようなブラボーの大嵐、客席の沸きに沸いた様子を見ればいい仕事をしていたであろう今回のコンサートを私は感じ取ることができていないようでした。
 ベートーヴェンでの後半シンバルに回った平尾さんのティンパニは私は好きでした(平尾さんのシンバルは、やってみるとやっぱりこの人の、平尾さんならではの見事なものでした)。後半のティンパニはいつもの清水さんと横尾さん。気品を崩さない澄んだトライアングルは重田先生。フルートは前半江川さんだけど後半オールスターキャスト。その他エキストラいっぱいの総勢90名以上のオーケストラにコントラバスには相葉さんもいた。
 いやいや、なかなかのものでありました。


by yurikamome122 | 2012-02-18 18:12 | 神奈川フィル | Trackback(1) | Comments(2)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 名曲シリーズ オーケストラ名曲への招待 ~ハ短調の慟哭~
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 名曲シリーズ オーケストラ名曲への招待
 ~ハ短調の慟哭~
公演日:2012年02月05日(日)
開 演:14:00
会 場:神奈川県民ホール大ホール   
指 揮:サッシャ・ゲッツェル 
ピアノ:三舩優子 

グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲 
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番ハ短調

~~休憩~~

ブラームス/交響曲第1番ハ短調

 いやいや、見事でありました。
 神奈川フィルはこういうオーケストラなのであった。
 私が知っているこのオーケストラの響きはこうなのでしたよ。
 県民ホールは鳴らないホールだという。
 でも今日はちゃんと鳴り響いているじゃん。
 「るすらん」なんていう曲はどうも今聴くとちょっと恥ずかしくなっちゃうようなウキウキ過ぎる曲なんだけど、でもそんなこの曲に期待するウキウキ・ワクワクが突撃してくるような、そんな楽しさがオーケストラから溢れてくるのは鮮烈。
 このオケの自慢の(っていうか自慢してるのは私だけかも知れないけど)弦が艶やかでコケティッシュにしない優美な曲線を描きそれに管楽器がブレンドしながら花を添え、織かさなり弦と管の綾となってその色彩の素晴らしいことと言ったら、これが神奈川フィル。
 ラフマニノフはそんなウキウキとはうって変わってR18指定、大人の響き。舞台に登場するシックな服装の三舩さんの艶やかで魅惑的な存在感にはこの曲のそんな演奏にふさわしく、またオーケストラの粘る歌い廻しが深く暗くロマンティックに鐘の音からその後の官能的なうねるピアノを優しく熱く包むようで、それでいて繊細で冴えた鋭い輝きがピアノとオケの饗宴。その響き合いはなんだかエロチズムを感じてくるくらい。
 1楽章のあの一番盛り上がるところ、凄いエクスタシー。ここまでやって欲しいよな、ここは。
 2楽章のもうコーヒーに添えられた甘すぎるケーキのような音楽は身体中とろけそう。 夜空の満月のようなその甘いメロディーに、砂浜によせては返すさざ波のような弦がまた素晴らしく官能的で幻想的。ちょっとこの音楽、やっぱり催淫効果がありませんか?。
 今日の冴えたフルートは江川さん、そしてクラリネットは森川さん、森川さんの音、久しぶりに堪能。
 3楽章ではうねる絡む星屑のようなピアノが降り注ぎながらロマンティックにそれを受け止めるオーケストラが、その息づかいが時には荒々しく、そしてある時はため息のように、また息を殺すようにピアノを攻め立て抱擁するようで、それをシルクの輝きの弦がまとわりつくように包み込み、そして歓喜の法悦。
 オケもピアノも美しすぎ。
 あまりにロマンティックすぎるラフマニノフのあとのシリアスなブラームスは定期でちょっと大人しくきこえたベースも席のせいかどうかわからないけどタップリな量感。
 やはりちょっとこれ見よがしがないではない気がするテンポの揺れなんだけど、でもいいです。もうこれに付き合ってあげちゃいます。
 今日のオケはスッゴイよく鳴っていてそして歌う。そしてしなやかで艶やかで、そしてリズムが若々しいの指揮者のせい?。
 そんなオーケストラが殺気のようなものを感じさせながらも一歩一歩踏みしめながら迫ってくる迫力と情熱のうねり。
 鈴木さんのオーボエもいつもながら見事。ホルンの1番は誰だったのだろう、若い子。大健闘。
 今日のティンパニは堀尾さん、鮮やかだった。
 包み込む春の日差しのように始まる第2楽章も揺らめき変化する響きが優しく、それに遠くから響く木霊のようなオーボエとなんといってもここはヲレ様石田様の繊細なヴァイオリン・ソロは高原に咲くスミレの花のよう。
 そんな高原の午前中の眩しい爽やかな空気のような3楽章もこのオーケストラの木管の名手たちの贅沢な饗宴が時折翳りも見せながら、そのコントラストも鮮やかでなんだか歓びに満ちている気がしてきて、やがて4楽章、インターバルをしっかりとるゲッツェルさん。
 緊張の出だしは物々しさよりもやはり張りつめた情熱は前のめりなものを感じながら、雪崩のように崩れるところはだんだんテンポが速まりそしてあのクララへの呼びかけのホルン、フルート。秘やかな角笛の木霊も神秘的で素晴らしく、あの第9に似た(といわれた)あのメロディーの豊かな拡がりはこれが県民ホールで聴いているとは到底思えない充実度。
 もうこのへんでゲッツェル氏は感情を抑えるのをやめたようで(そんなことはないか)ボルテージも上がりうねりは更に大きくもうこっちは難破しそうなくらい音楽に翻弄されて、でも流されてはかなわないのでよせる音楽に足を踏ん張り聴く体制を何とか保ち、だけどもうステージ上からは容赦はなく私を挑発し攻め立てる。
 あのトロンボーンの見事なコラールはアドレナリン分泌最高潮。
 聴き終わったあと、疲れたなぁ。でも心地よかった。
 私はつい数年前は神奈川フィルから毎回こんなコンサートを聴いていたんだった。
 そして県民ホールが鳴らないのはオケのせいでもホールのせいでもなかった。
 ただ指揮者のせいであった。
 さぁ、迷ってないで聴けなかったヤツは相模大野へ急げ!!。 
 だけど、この「ハ短調の慟哭」っていうタイトル、どうかなぁ。
 そしてもう一つ、ゲッツェルさんの靴の裏は赤かった。


by yurikamome122 | 2012-02-05 07:37 | 神奈川フィル | Trackback | Comments(2)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団第277回定期演奏会
神奈川フィルハーモニー管弦楽団第277回定期演奏会
公演日:2012年01月28日(土)
開演:14:00
会場:横浜みなとみらいホール   
指揮:サッシャ・ゲッツェル 
ヴァイオリン:松田理奈

ゲスト・コンサートマスター:
   廣岡克隆

R・シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調
ヴァイオリン・アンコール
 イザイ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番より第1楽章

~~15分休憩~~

ブラームス/交響曲第4番ホ短調作品98 

 ううむ、無理して行ってよかった。
 「ドン・ファン」の出だしでもうこれはイケる事を確信、あの溌剌とした出だしから果敢に攻める意欲と引き締まった官能と言いますか、熱い情熱とオケから香り立つものがあるのが感じられた。
 世紀末的爛熟の世界の絢爛豪華な目眩く音の饗宴、響きが次々に輝きを変えて、いつもの神奈川フィルの透明で輝かしい響きがこんなにも艶やかに潤いをもって、しかもそこここで弾けるパッションの凄まじさ。
 さすがゲッツェル、ウィーン子、R・シュトラウスにはこういう響きはやっぱり似合うと思う。
 ブルッフは松田里奈嬢が黒い服で華やかな外見よりも音楽を聴いてくれといわんばかりの出で立ちで奏でられたブルッフはその通り、音楽がしっかりと語りかけてくる充実の響きからたっぷり情感をたたえた演奏で、それをサポートする神奈川フィルがまた素晴らしく高品位の演奏をしていて、情景がくっきりと浮かび上がる一つ一つ丁寧にひだが刻まれたブルッフでありました。
 私は今までブルッフからこんな音楽の充実を聴いたことがあったかな?。
 そう自問したくなるような幸せな演奏でありました。
 アンコールでも松田嬢は安定感抜群、アクロバティックな曲を歌心たっぷり丁寧に聴かせてくれました。
 そして、休憩後のブラームス。
 かなりテンポを揺らす、ちょっとあざとさもないではなかった気もする演奏ではありましたが潤いをもった弦は魅惑的と言うよりは儚く切なく、まるでバルビローリとVPOのような表情を見せる時もあるのだけど、テンペラメントを感じる情熱的な演奏は燦めきに満ちていたと思う。舞台から迫る音楽の迸る様子はシュナイト時代を思い出した。あの頃神奈川フィルは毎回こんな演奏を聴かせてくれていた。
 とはいえ、シュナイトさんのドイツ的な演奏とは全然違う、爛熟したロマンチズムを感じる、ウィーン風のブラームス。むせるような香りが立ち上るちょっと不健康な香りのするこの演奏にもう酔いしれるしかなくて、1楽章の勿体ぶった再現部の入りのあそこ、そして弦がまたため息をつく、でもそれは運命が非情に流れてゆくような切なさを感じて、そんなことを思っているうちにたたみ込むようにコーダを迎えた第1楽章はもう危うく泣くところだった。
 そしてアンダンテと言うにはちょっと遅い第2楽章がもう圧巻の素晴らしさ。ここに感じた歌と哀しさはシューベルトの世界にも通じるのではないのかな。この楽章でこんないろいろな景色を魅せられたのは初めて。1楽章で芳醇なブランデーをロックで一気に酔わされた私は、ここで濃厚で豊かな拡がりの味わいのフルボディのワインの誘惑に翻弄されて、第3楽章はいきなり目の醒めるような鮮やかさ、けど色気と品位は決して失わない。
 第4楽章は人によってはアタッカのように始めるけど、シュナイトさんのようにインターバルを充分にとり再び集中してあのコラールでパッサカリアの主題を提示する。この響きに思わず目頭が熱くなる。うねるような情熱が交錯しながら憧憬に満ちた中間部の私には切なかったこと、こう言う時には私は山田さんのフルートのに右に出る人はそうはいないと思うのです。
 そして第16変奏、怒りが爆発したようなそこから一気に曲は、と言うか演奏は感情剥き出しのなりふり構わないような勢いになるのだけど、その表現をする今日の神奈川フィルは爛熟した妖艶でキュートな響きで、そして輝くその目がとても鋭く、っていうかそんなふうに感じて、神への怒りの表現ともとれるってプログラムに書いてあったこの楽章、クララを幸せにできないこの境遇への切ない哀しみ、そしてその出会いの残酷さをの怒りを神へぶつけたのかどうかは知らないけど、勝手にそんな風に思ってブラームスのその哀しみを勝手に感じて泣けた。
 ゲッツェルはやっぱりよく飛び上がった。でも以前ほどではない。だけど飛び上がる高さよりもテンションの高さが素晴らしかった。
 その彼にオケが必死に喰らいついて行く、それをまた攻め立てる、オケと指揮者の丁々発止のやりとりが見えるような気がしてそんなスリリングな舞台を観て胸がときめき興奮した。
 ヲレ様石田様、あとホルンの森さんは居なかったけど廣岡君も頑張った。
 いつもより艶やかなヴァイオリンは素晴らしかった。ヴィオラの深い美しさも本当に素敵。チェロの想いのこもった歌い廻しは、あれにやられちゃうんですよ、いつも。コントラバスもよかった、量感が、もう少し響けばもっとよかった。
 清水さんのティンパニ、今回はいつものシャープだけど軽めの音ではなくて私の好み。金谷さん、府川さんのトランペット、まろやかでロマンティックだった。トロンボーンも優しかった。フルートは山田さん、もうウットリ。鈴木さんのオーボエ、斉藤さんのクラリネットの冴えた風を感じる歌が好きです。
 なんだか久しぶりに堪能した神奈川フィルの本来のパフォーマンス。このオーケストラはこれなんですよ。
 これが聴けて嬉しい、今回は幸せでした。ありがとうございました。
 ゲッツェル、第4代音楽監督なんて、ダメですか?。


by yurikamome122 | 2012-01-29 07:07 | 神奈川フィル | Trackback | Comments(2)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第九特別演奏会 ベートーヴェン/第9
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第九特別演奏会
公演日:2011年12月23日(金・祝)
開場:14:30
開演:15:00
会場:神奈川県民ホール   
指揮:金聖響 
ソプラノ:森麻季
メゾ・ソプラノ:押見朋子
テノール:岡田尚之
バリトン:黒田博
神奈川フィル合唱団 

ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付」 

 聖響さんの「第9」はこれで3回目、毎回表情が違うって言うことは、スター指揮者で大きな支持を集めていながら、それでもそれだけこの指揮者が努力をしているって言うことだと思う。
 一昨年のお目見えの時の演奏は随分やんちゃだった印象があって、細かいところはもう覚えていないのだけど凄い勢いでジェットコースターのようだった気がした。
 去年はそのやんちゃさが少し押さえられてテンポも少しゆったり、何となく普通になってきた。
 今回はまたまたみなとみらい線、東急東横線通勤快速渋谷行きのような感じで、かといって外のお天気も快晴で空気も澄んで遠くまで見渡せる。窓から見える景色もだから鮮やか。去年の演奏は一昨年と比べて少し元気がなかったのだけど今回はよりメリハリもはっきりしていてユンケル黄帝ロイヤル10本飲み状態、かなり細かくいろいろと考えた演奏のようにきこえたし、フレーズごとにきめ細かく気を配られ制御された混成合唱は、少人数ながら結構健闘していて透明な響きを維持していたように感じて聖響さんのスタイルにはいいのかも知れない。
 ピリオドと言うにはちょっと現代的な演奏のような気がするのだけど、やはりピリオドのテイストが混じっているこの演奏、この曲の内に秘められた可能性をあえて蓋をしているような気がしてしょうがないのだけどどうなのだろう。
 オーケストラはコンマスはいつものヲレ様石田様率いる弦楽器軍は繊細で透明で幻想的な響き、木管はやはり冴えているとっても美しいアンサンブルにうっとり、特に3楽章のオーボエやピッコロの大見さんは私の大好きな音だったし、金管もまるでみなとみらいの夜景のようにゴージャスでブリリアント。そしてティンパニの平尾さんは思慮深かった。
 ソロの4人はどれも実力者、森さんの通る声、押見さんも迫る声は見事。本当はもう少しドラマチックにやりたかったんじゃないかな。岡田さん、黒田さんもGJ。
 合唱も触れたとおりの大健闘。
 こんな最上の材料を揃えていて、一気に1時間あまりを聴かせたその爽やかさは清々しさも感じるのだけど、この曲はもっと大きな可能性がないかなぁ。
 終演後は黒岩知事、聖響さん、石田様をはじめとする楽員の皆さんが募金の呼びかけ。結構凄い賑わいで、これならこの第9、今回はSOLD OUTの盛況なんだからもう2,3回やればすっごい募金が集まったんじゃないかと思うくらい。
 今年は聖響さんと神奈川フィルのマーラーで随分勇気づけられました。3月12日の定期は忘れられません。そして自分のイヴェントでもお世話になりいろいろありがとうございました。
 来年もよろしくお願いします。微力ながら来年もブルーダル基金、協力させて戴きます。
 神奈川フィルの皆さん、良いお年を!。


by yurikamome122 | 2011-12-24 12:52 | 神奈川フィル | Trackback | Comments(0)