シュナイト/神奈川フィルでベートーヴェン作曲、交響曲第6番「田園」

c0021859_2215566.gif  このCDに記録されたコンサートは、まだできたてのミューザ川崎で2005年3月29日に”名匠シュナイトの「田園」”と言うキャッチで開かれたもの。なぜかわからないけど、定期会員だった私は1000円で優待されたという、たった1000円で、ひょっとしたら来日オケの数万円よりも数段素晴らしい思いができたというわけ。
 当日はここに納められている「田園」とモーツァルトのディヴェルティメントのK.138番の他、「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」が臼木あいさんのソロで演奏された。
 コンサート会場でこの演奏を聴いたときの衝撃は、と言うか幸福感は今でもハッキリ覚えていて、でもそう感じたのは私だけではなかったようで、それは1曲目のモーツァルトからで、美しくも優美な、気高さまで感じるようなディヴェルティメントの演奏が終わってからの静寂は水を打ったようだった。
 その静寂を破って一番初めに拍手をしたのは指揮台上にいたシュナイトさんその人。「ブラヴォ」の一言とともに指揮台上で拍手をして、それから正気に戻ったような客席も手をたたきはじめる。その様子はこのCDにも刻まれている。
 この田園でも定期会員感謝で1000円で事務局から割り当てられた、前から2列目ヴァイオリンの第4プルトの前という凄い席で、まわりの人も敬虔な感謝に満ちあふれたようなキラキラ輝いていた5楽章ではハンカチを握りしめていた人がたくさんいたのを感じたのは、周りの席の人が肩が震えていたのは直接見なくとも気配で感じるのです。
 それまで幾度も録音でも実演でも接してきたこの曲なのだけど、私にとりサントリーホールで聴いたアバド/ウィーン・フィルの演奏と並んで感銘深い演奏で、その後にシュナイトさんとは幸運にもまたこのコンビで県立音楽堂でも聴くことがかなったわけだけど、このアバドとシュナイトさんの、この演奏が私にとり最高のこの曲の体験なわけなのです。
 その記録のCDはといえば、変幻自在でロマンティックな音楽が、もうこの頃から美しい響きを持っていた神奈川フィルの弦が1曲目のモーツァルトから詰まっているのです。 今はもう、というかこの演奏をしていた21世紀のこの日では絶滅危惧種になっていたような演奏で、ロマンティックでシンフォニックで豊かで音楽的で、ここまで素晴らしいかどうかは別にして、こんなスタイルの演奏は実は1980年代まではそこいら中にいくらでもあった。
 そんな演奏に出会えた喜びと、シュナイト/神奈川フィルによってこの曲の神髄に触れたようなあの信じられないような音楽体験とが込められたCDなのです。
 なのでこの「田園」は個人的に思い入れがある、毎日一度は聴いている演奏なのです。この会場にいて、2楽章で満ち足りた気持ちになって、4楽章で怯えて、5楽章で目頭を熱くした、あの演奏会の記録。
 オーディオに邁進する今日この頃、それはひとえに私にとり特別なオーケストラである神奈川フィルの、このCDの再生のためなのです。オーディオ機器を自作をする事に情熱を傾けているのは、ハイエンドも含め、私の知る限り満足な結果を得るためには、その方が遙かに合理的だからなのです。
 それは、この演奏会のあと、こんな信じられない体験を幾度もさせてくれたこのオーケストラから私は離れたくないのです。
 でも、今は一部しか聴けません、あそこのあの場の雰囲気とはまだ少し違うからなのです。
 嗚咽をこらえたはずの5楽章で、そんな感情がわき上がってこないのです。
 あの感情が意識せずにすんなりこの部屋で蘇ったときに、この部屋で神奈川フィルと再会できたとき全曲を通して聴くでしょう。
 よくレセプションで「ワタシハ、ハマッコ」と言っていたシュナイトさん、その後お元気なのかしら?。シュナイトさんの横浜のオケはここのところ評判がいいようですよ。

by yurikamome122 | 2015-02-03 18:01 | 今日の1曲 | Comments(6)