金田式DACを更にいじってみる

 金田式DACのAFの部分に電源回路がないことがちょっと驚きだったが、そんなことはさておき、今度はデジタル部分にも目を向けてみると、金田式のパーツはほぼオリジナルとは言え基板そのものはユニバーサルではなくエッジングされたものを使っている。
 グランドはベタアースとなっているので、オリジナルよりはひょっとしたら良いかも知れない。しかもちゃんとデジタル部とアナログ部が分離されている。
 このベタアース部分に関してデジタル部とアナログ部はノイズ遮断回路を入れることにする。そしてまた、各コンデンサとチップは銅板によりシールドを施した。
 これが海の水がどんどん澄んで、色とりどりの熱帯魚が戯れるような珊瑚礁が海面からでも手に取るように見えるような、音が鮮やかになって音の精度は上がっていくように感じるのだけれども、不思議なことにやればやるほどつまらない音になってゆく。混じり合ったオーケストラの音も個々の楽器がこれほど正確に分離したのは聴いたことはないのだけども、定位感も残響も奥に拡がり、まるで部屋の奥にブラックホールでもあるような感じになってしまった。
 実際、以前に別のチップを使ってDACを製作したとき、グランドの取り方、ベタアースの取り方で音がコロコロ変わった。そんな中でこの音は以前にユニバーサル基板からDACを組んだときにアースの取り方で失敗をしたときの感じに近い。ということで、チップ上のシールドの銅板をアースを取ることにしてみたらビンゴ、部屋の奥のブラックホールは消えて、目で見るようなオーケストラの楽器それそれが浮かび上がるような迫力と正確さ、そして録音会場の形や広さを意識させるアンビエンスが豊かに部屋一杯に拡がった。改めてこんな集積回路からは輻射がかなり多いと言うことを再認識。c0021859_6383466.jpg
 また、基板上の3Vの3端子レギュレターと5Vのレギュレターのブリッジダイオードにもシールドと共に接地をするとやはり思ったとおり、音を出した瞬間変化がわかる。
ものはついでで、S/PDIFのカップリングコンデンサのシールドも試みてみた。
 それから、能動素子のシールドと言うことでは、AF部分の整流ダイオードも銅箔巻きによりシールドし、もちろん接地。それからRコアのトランスもコイルの部分に銅板を巻きそれをシールドする。これはプリアンプ製作の時に効果が見られたもの。もちろんこれも接地。スッキリしたけれど音がなんというかリアリティーと言えばそんな感じもしないでもなかったエッジの立った、鮮やかで新鮮な感じのすると言えばそうなのだけれども、私には若干刺激があったように感じたものが、これでそれが全く取れて柔らかで滑らかな、それでいてきめの細かき高品位な音に生まれ変わった。当初の前へ出るような力強く押しの強いパンチのあったこのDACの音は、今では臨場感のある拍手を再生し、当初のリアリティーとは全然次元の違う軽やかな空気感、開放感と柔らかな繊細さと同時にスケール感を伴った恐るべきDACに変わった。

 ブルックナーの交響曲は、大編成でありながら室内楽的に楽器を鳴らし色彩感と透明感を感じるマーラーと違って、それこそ大オーケストラが雄大にユニゾンで鳴るわけで、そのスケール感と迫力と、そこに楽器の重ね合わせで変化する音色とホールトーンの中で繊細にコントロールされるヴィヴラートなどを伴い、長いフレーズをまるで物語を語るように抑揚を微妙に付けつつ呟いたり歌ったりが心臓をロックするのが音楽の感動の幅を拡げる。コーダでは大オーケストラ弦楽器の奥に金管がズラリと並んでのtuttiが見えるよう。
 また、マーラーのアダージョの色彩感に満ちた透明な響きがホールに溶け込んでゆく。
 それに教会でのグレゴリアン・チャントは、ちゃんと天から響いてくるじゃないか。
 それから、長年の懸案だったシュナイト指揮、神奈川フィルの「田園」、キタ。
 これで金田式DACの悪戯はおしまい。この実験結果を安井テイストの次回作DACに反映してみることにする。

 教訓:シールドは必ず接地しろ。

by yurikamome122 | 2015-11-11 06:40 | オーディオ

金田式DACその後

 金田式DACが、もちろんそれだけでも充分過ぎるくらいクオリティーと見通しのよい音なのだけれども、音の洪水と言えば聞こえはいいのだけども、居酒屋の酔っ払いのような押しの強さともう一息抜けきらない立ち上がりの若干の弱さ、それから出てくる音の刺激をなんとか抑えられないかと改造を試みる。
 さんざんノイズ対策を試みたOP-AMPのI/V変換回路にも僅かながら及ばなかったことからノイズ対策をと言うことで、インダクタを各所に挿入。具体的には、①.DACチップからI/V変換に入るまでではアースラインに、それから正負の出力にはコモン巻きのコイルを挿入、②.電源回路からのノイズの回り込みを防ぐために、アースを含め正負電源ライン、③.S/PDIF入力のコールド側。
 合わせて、S/PDIFには必要帯域外の高周波をカットすべくハイカットフィルターを入れてみた。
 これだけいっぺんにやってしまったので、どれがどの効果かわからないけれども、雰囲気一変、居酒屋の酔っ払いは居なくなった。というか、活気はあったが騒々しい居酒屋が、美味しい酒と新鮮な素材の味を楽しめる小料理屋になったような感じ。高品位で透明、音の手触りが柔らかくなり、滑らかできめが細かくなった。パンチを感じる前へ出てくるような音だったのが、奥へ拡がり前後感が随分出た、そのパンチが前だけに出るのではなく、上下左右前後にエネルギーが放射される度合いがかなり増えたように聞こえる。ソースによっては部屋の壁が抜けたのではと思うようなパースペクティヴが出せるようになった。
 で、でも奥行きが広かったのは良かったとして、安井テイストにはまだ及んでいないのは、この金田式DACは改造前から元々部屋一杯に拡がっては居るのだけれども、その濃さが安井テイストには若干劣るのだったのが、かなり改善されては居るけれども、まだもう少し。そしてやはりまだ少し騒々しい。音の刺激は随分なくなって自然な、部屋とホールが溶け込むような音になりなかなか良いのだけども、パキーンとパワフルなダイナミックさでは今一歩、と言うのは厚めの音と言うよりも、たとえばピアノのヤマハ特有の「キーン」というアタックやスタインウェイの雄大な低音を伴った立ち上がり、オーケストラでのハードスティックのティンパニの鮮やかな「ターン」という感じが安井テイストに比べて若干弱い。そのせいかどうか安井テイストに比べると弦のユニゾンが平面的。録音したホールに溶け込むようなヴィヴラートが今一歩。結果リアリティーでは劣る。フルトヴェングラーのバイロイトの第9ではモノラル録音でありながらバイロイト祝祭劇場の広さを感じるはずが、パワーはあってもそのあたりを感じることができないし、もともと多すぎる人数の合唱の歌詞がやや不明瞭。
 それに、オーケストラの、特にシューマンのオーケストレーションの聞こえにくい音の塊の中の木管と金管がハッキリと判別が難しい。拍手が立たないのは大幅に改善されては居るのだけど、今一歩。中域はなかなか厚いのだけども、もう少し分離が欲しい。
 まぁ、これでも充分すぎなのだけども、部屋の壁が全部なくなってホールになったかと思うようなアンビエンスを再現する安井テイストを聴いてしまっているとやはりねだりたくなるわけですわ。
 次はデジタルの部分を少しいじってみる。

by yurikamome122 | 2015-10-29 17:48 | オーディオ

金田式DACがやってきた

 金田式DACがやってきた。DACチップはTexas InstrumentsのPCM1794、I/V変換はもちろんこれがウリだけど金田式DCアンプ。c0021859_15565635.jpg
 パーツは全てオリジナルの指示通り、純正に近い金田式。
 今まで使っていたのは某オーディオショップのキットで、DACチップはWolfson WM8740で、I/V変換はTexas InstrumentsのLME49710だったものを安井テイストのシンプルなものに変更して改造している。安井テイストのI/V変換回路は、MJ誌11月号に安井先生が御自ら紹介しておられるもので、回路図のみ勝手に転載。もちろん安井先生の設計です。
 なんで私がそれを使っていたかと言えば、安井先生から少し前に直接おわけ頂いたからに他ならないわけで、盗作でも何でもありません。
 先ずはそのままの聴き比べ、金田式と言えば泣く子も黙るので大変楽しみであった。
 音出しの瞬間、先ずは押し出しの強い、パンチのある豪快な音になるほどと思いながら聞いていると、スピーカーから音が飛び出すような躍動感も聴けてとにかく迫力が凄い。
 が、しかし音が名人のチャーハンのように一粒一粒立っていない。シューマンのあの奇っ怪なオーケストレーションの豪快に鳴るオーケストラの中で弦や管をなぞっている木管が明確にきこえてこない。そしてピアノタッチがキーンと立っていない。アムステルダムのコンセルトヘボウ大ホールで残響の中に融けるように優雅に響くはずの弦のヴィヴラートがきこえない。
 そして、拍手が拡がらない。改造DACできこえた空気感がやや薄いのですよ。(当社比)
 再び改造DAC安井テイストに戻してみると、結構これはこれで豪快ではないかと。なぜ金田式の方が豪快に聞こえたかは押し出しが強く、音が前に出てきたからで、安井テイストは個々の音と空気がそこにあるように鳴るので大きな音が鳴ってもうるさくはないし、迫ってくると言うよりはリアリティーがある。
c0021859_15581933.jpg 改造DACは電源もI/V変換回路も全てNON-NFBであることも影響があるとは思うけど、でもこの安井テイストのI/V変換回路を導入する前は先にあるとおりのOP-AMPで、様々実験でノイズ対策を施していたのだけど、もう少しいろいろな音が聞こえていた。
 OP-AMPでも結構イケると言うことを実感。(当社比)
 そして、先ずはノイズ対策であることも実感。 c0021859_15595471.jpg

by yurikamome122 | 2015-10-26 16:01 | オーディオ