EPO 「八月十七日」

c0021859_1213104.jpg もう立秋も過ぎて夏真っ盛りとは言え気がつけばもう日はずいぶん短くなっている。
でも今この時期、世間は夏休み真っ盛り。
 おかげで都会はすっかり閑散としている。
 こんな風景は結構好きなのです。
 そんなときにちょっと感傷的になったりするのは、どことなく去りゆく夏を感じつつ、思いもしなかったようないつもとは違った表情の街がいろいろと本音を語っているように感じたりするワケなのです。
 心にそんな隙を見せたとき、突然甘く切ない追憶に襲われる。出来過ぎたシチュエーションの歌。
 こんな時期だからこそなおさら胸に、心にしみたりして。

 8月の夕暮れは
 汗のひいた 日影のようね
 人も車も消えた好きな季節

 偶然と過ちは書きこめない予定だったの
 向こう岸で 手をふるよく似た人が あなただなんて

 20階のカフェテラス見下ろしたら
 会えた事が不思議なほど街は広い

 あれからいくつの恋に巡りあったの?
 今でも同じところで暮らしているの?
 夜にはどんな仲間と遊んでいるの?
 グラスの泡がこぼれた
 軽いビールに浮かれ
 恋のゲームしかけないでね
 今はトキメキだけが二人の心繋いでるだけ

 20階のパノラマに夜が来たら
 熱を持った風のままですれ違うの

 過ぎた月日を語るうまい言葉見つからなくて二人きりのエレベーター緊張してる

 お互いの行き先を尋ねたなら少しジェラシー
 別々に手を上げて拾うタクシーせつなくていい

 キスより熱い瞳に戸惑いながら 寄せては返す想いが砕ける音が
 あなたの胸の奥にも聴こえるかしら?


 東京女子体育大学の健康的な元気印のEPOが1987年に出したアルバム「Go Go Epo」のラストに入っていた曲。
 ソフィスティケートされたボサノヴァのリズムで軽快に切なく歌うEPO、大人になる引き替えに、心の危険を察知して心の窓を閉める習慣のついた今の私の、その窓をほんの少し開けさせたその瞬間をこじ開け、あっという間に切なさで満たしてしまう。
 発売と同時に買ったこのアルバムだったけど、買った当時、この歌の切なさがどれくらいわかっていたのかな。

 youtubeにあった「Go Go Epo」のフルアルバム。この中で35分55秒付近からです。



 ここから彼女のアルバムから読む20代のEPOのプロフィール。
 1983年、「VITAMIN E・P・O」で「土曜の夜はパラダイス」で失恋などものとはせず若さを武器に「う、ふ、ふ、ふ、」と人生を謳歌し、




 1984年、「HI・TOUCH-HI・TECH」の「涙のクラウン」の愛に飢えた刹那的な都会の楽しく賑やかな幸せ。これ、「オレたちひょうきん族」のエンディングテーマになったので、そのイメージが強い人もいるかもしれないけど、EPOのプロフィールの曲の一つだと思うのだよ。



 1985年のアルバム、「HARMONY」の中で、B面の1曲目だった「私について」で1980年代に20代だったEPOは自分自身のことを

 20の私に手紙を書いたら、
 幸福だったと返事が来たけど、
 一人でむかえる夜が恐いと、
 ふるえていた。


といいつつ、次のフレーズで、

 床に落とした、万年筆の、音で目覚めた。
 カゼをひくよと、上着をくれた、あなたを見つめた。

 未来の私に、手紙を書いたら、
 あて名が違うと、返事が来たから、
 明日の風をさまよう私を、さがさないわ


といい、そしてこのアルバムの最後の曲「ハーモニー」では満たされた優しい愛を歌う。

 「私について」


 「HARMONY」のフルアルバム。「私について」は21分13秒付近から、「ハーモニー」は39分10秒付近。


  「私にとっての20代は、音楽的な反抗期そのもので、ポップスなんかもう嫌だ。私らしい音楽を作りたい。そういった、プレッシャーとストレスが続く日々の連続だったんです」、「CMソングに使われた事で曲は売れ、"EPOはいつも元気な音楽を歌っている"といったイメージが、音楽ファンに広がっていったんです。しかし、実際には、この頃の私は、プレッシャーとストレスで、精神的にも体力的にもボロボロで、体調を壊す事も度々あったんです」と、「クリスマスは、女の子にとっては特別な日のはずなのに、音楽を仕事にしていた私にとっては、仕事が入る確率が高くて、毎年、友達やボーイフレンドとも約束ができなくて、大嫌いな日でもあったんです」とも後に告白していた。

 1986年のアルバム「PUMP! PUMP!」にはクリスマス・ソングの「12月のエイプリル・フール」が入っていて、この歌に関してEPOは「曲作りを始めた頃、それまで、私の中では"オンリー・ワン"だと思っていたボーイフレンドが、実は"オール・オブ・ワン"だった事が分かったんです」と告白している。


 前後するけど、アルバム2曲目「音楽のような風」で悲しみの涙を爽やかに流す夏の別れ。ライヴ映像から


 その翌年のアルバムがこの「Go Go Epo」なのですよ。
 夏休みで閑散とした都会の思いがけない再会。

by yurikamome122 | 2015-08-13 12:18 | 今日の1曲