プリアンプの制作 その5 電源トランスの結線とアースラインの引き回し

 安井先生のアンプの回路では、というか基板のパターン制作の段階での話だけど、アースラインを信号ラインの流れに合わせてあるのはきちんと配慮されてのことなのはもちろんのことなのだけど、ということで、トランスを2台使い、左右両チャンネル独立させるというよくありがちなものではなく、安井先生提唱の1台のトランスの巻き線をそれぞれ左右両チャンネルに振り分けるという結線方法を先ずは試してみた。それが一つ目の図(Fig.1)。もちろんなんの問題もなく動作している。
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 安井先生の回路での一つの特色であるアースの取り方なのだけど、外部からのアースもケースのアースも高周波ノイズ遮断のコイルが入れてある。これの効果が絶大なのは先に実験したとおり。
 ところで、トランスを2台使うのが高級品での一つのステータスのように感じる向きもあるのだけども、実は1970年代から80年代のオーディオ・ブームの頃、メーカー各社もこのような方法を採用して、左右独立のモノーラル構成の2in1としてクロストークと混変調歪みを改善し、音質の向上を目指すというのはよく聞く話だったし、現在でも時折採用されているやの話はよく見るのだけど、私自身、いくつかのアンプを作成した中で左右独立が単独電源に勝った例はない。
 今回、そこで一つの実験として以下を試してみた。

① 安井先生の結線(Fig.1)ちょっと変わった結線方法で、これだと巻き線は左右独立しているが、トランスの1次側は共通となってしまい、厳密には左右独立にはならない。

② 2台のトランスを各々1個ずつ左右に振り分けた、完全な左右独立型。

③ 2台のトランスのうち、1台の結線を外し1台のみで両チャンネルへの供給としてみた。

④ 2台のトランスを並列にして容量を増やしたのと同等にしてみた

⑤ 2台のトランスを直列にしてトランスにかかる電圧を半分にして、両チャンネルへ供給としてみた。

 結論から言うと⑤のトランス直列が一番結果がよかった。一番劣ったのは予想されるとおり③で、その次に劣ったのが②。
 つまり結果はよい順に⑤>①>④>②>③と言う結果。
 但し①と④に関しては僅差というか、音の傾向が違うというか、パンチと繊細さでは①、力強さでは④と言った印象。
 なんだ、安井先生のトランスの使い方がまり意味はないではないかと言うことではない。2台のトランスを使い、完全に1台ずつで左右両チャンネルにわけるよりも、安井先生の結線方法の方が結果としては全然よい。その理由は先生ご自身で記事にされている。ただトランス2台を搭載する余地があって、経済的にもそれを許すなら、可能な限り大きなものを1台にした方が、右左を独立にするよりも結果がよいということはあるのではないか。
 実はこれ、プリアンプよりもパワーアンプの方がこの差は大きかったりするのは、経験上確かなことだと思う。
 トランスを左右独立にするというのは、実はレギュレーションという意味では実はデメリットの方が多いのではないのか?。
 ところで、⑤が音がいい理由はリケージが減るからとかなんとか様々な理由を聞くけども、実際ノイズの量は明らかに減っているようだった。
 ということで、トランスの結線は⑤の方法に変更。となると、アースラインの引き回しに関しては若干の変更が必要になる。
 トランスの結線方法とアースの取り方を変更した結線図はもう一つの方。
 回路アースへはトランスの中点からに変更せざるを得ない。
 但し、ここでの音は深みのある低音と生々しいフレッシュな音楽が力強く響くようになった。 
 その他、若干の補足も図上に記しておく。
 これでプリアンプも一応完成。
プリアンプの制作 その5 電源トランスの結線とアースラインの引き回し_c0021859_14392963.jpg

by yurikamome122 | 2015-07-30 14:40 | オーディオ | Trackback(1) | Comments(0)

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